三好達治『路傍の秋』1958、短編小説をも含む随筆集、噴出する硬派な資質

 随筆集だが、巻頭に短編小説と云うべき『風景』を置いて いる。それから自伝的仮想を綴った『放下者』、『文学的青 春伝』、『貧生涯』が続き、さらに梶井基次郎、堀辰雄、坂 口安吾、桑原武夫、幸田露伴、高村光太郎などの人物論とい うのか印象記、また『文部省の詩感』、『外から見た日本』、 『天皇を巡る人々』などの文化業論、最後を…
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破綻しない程度に、惜しまず有効にお金は使うべきバランス感覚

 「使ってこそ金」と「入を図りって出を制す」はいかにも 対立するようだが、実は根本で矛盾しない。まず生きている うちしか金は使えない、人生など短い、まして金を使って楽 しめる機会は限られている。だが使えば金などすぐなくなる、 一千万なんてすぐ、は常識だが、そもそも生きていたら空気 を吸っているだけで金をふんだくられるこの世…
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 『喝采の谷』平田敬、1977,綱渡りの特技で生き延びたユダヤ人の苦難の人生を描く「創作」

    『喝采の谷』は当時、TBS勤務の平田敬さんの執筆である。 平田敬さんはそれ以前、直木賞候補が二回、芥川賞候補も一 回あるほどの筆力である。多くの優れた本を出されている。 主人公はアーノルド・シロニー、本名エイサ・シロニー、 イタリア生まれのユダヤ人、サーカスの団員の子として生ま れ、サーカスではひたすら綱渡り、結婚し…
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