今東光『東光金蘭帖』(中公文庫)2005,文壇交遊録、全て懐かしい人情噺、谷崎、川端にあまりに無批判

 2005年に中公文庫となって再版されたが、初版は1959年、 やはり中央公論社からであった。そもそも今東光とはいかな る経歴なのか、というと明治31年、1898年3月に横浜市うま れ、学校は何度も旧制中学を放校、大学に進学はしていない。 東大時代の川端康成と知り合い、第六次「新思潮」同人とな る。大正12年、1923年、…
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殺意を呼ぶ隣室の騒音、集合住宅で鬱積する憎しみの暴発

 いささか戦慄だが、東京の江戸川区の集合住宅、安アパート 風ではなく1DKかそれを超える程度の部屋のコーポ、マンショ ンだろうか、80歳代の女性が隣室の74歳の男に両耳に包丁で切 りつけ、左耳を切り落とすという惨劇が生じた。隣室騒音に起 因する傷害、殺人事件はじつは多い。暴力事件、暴力沙汰は実 数しれない、今もどこかで起こ…
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人生から得たもの、「気にしない、気にしない」精神だけ

 とりあえずは、人生の最低年限は務めた、感慨は想像以上 に深い、いわば安堵であるが、あまりの苦渋ばかり、悲観的 に表現するなら、慟哭!なわけだが、どうにもならぬことだ。  なら人生は地獄かと云えば、そうでもない。人生万事、塞 翁の馬で苦虫も甘露となり得る。これぞ人生の妙味で、不幸、 苦渋がいいはずはなさそうだが、ものは…
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渋川驍『島崎藤村』1964、自伝的作品を鋭くえぐる

   著者の渋川驍が、昭和3年5月、大学生の頃、日本青年館 で開催されたスルヤ音楽団による日本歌曲発表会で、島崎藤 村によく似た一老人を見た。まさか島崎藤村がこんな音楽会 に来るはずはない、だがもしや、と半信半疑で見ていた。  スルヤ音楽団は諸井三郎を中心とした新進作曲家によるグ ループであり、中原中也、河上徹太郎などと…
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