宝塚、懐かしの写真館(180)穂高のぼる「私の家庭」 『歌劇』昭和14年1月
「私の家庭」穂高のぼる:私の家って、さあ、何をお話し
したらいいのでしょうか。およそ、別に書くこともなさそう
な平凡な家庭です。一年の大半を寄宿舎で過ごす私には、こ
れといって家についての思い出もないのですが、まあ、頭に
浮かぶよしなしことを。
私は末っ子の甘えん坊で、東京の家に帰ると一人ではしゃい
で皆を笑わせます。ですから、私が帰るまでは火が消えたよう
な家だと云われます。
今の家では、兄と姉と三人で暮らしています。兄は、下手の
横好きというのでしょうか、ピアノを弾いたり、歌うことがと
とっても好きで、朝なんかよく大きな声で発声しいて、私も
負けずに発声します。
兄は私の云うことは何でも聞いてくれる優しいお父様の代役
や、また先生にもなってくれます。
姉、これは兄に負けず劣らず音楽家で、もっぱら声楽に励ん
でいます。
でもスキーシーズンとなると、声楽も忘れてスキーにでかけ
しまいます。ストーブの前でスキーの手入れをしている、と思
ったら翌日はもうスキーに出掛けます。今年もスキーシーズン
が近づきました。
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