宝塚、懐かしの写真館(205)春日千鶴子、(雪組・演劇科)「初めての老け役」 『歌劇』昭和13年3月号


 IMG_5785.JPG雪組・演劇科、春日千鶴子:はじめ「ミシシッピ・ロマンス」
の配役で「主婦」とだけ発表されて、はてどういう役かなと、
見当もつかず、脚本を見てそれとわかって、なにかの間違いで
は?とさえ、思いました。その時、私がこんな役柄、老いたオバ
さんに果たしてなれるものやら、途方に暮れてしまいました。お
稽古のはじめ、先生に「アパートのおかみさん」と呼ばれて、お
するおそる手をあげますと、上級生たちは皆、私の方を見て笑い
になるので、私のほうが驚きました。

 一人でブツブツ、台詞の練習をしていて、休に恥ずかしくなっ
て周囲を見回し、お稽古場でも、皆に見られるのがイヤで、恥ず
かしさが先に立って「なるべく、私のところまで回って来ません
ように」と一生懸命、祈ったくらいです。

 組長さんにも細かく指導していただきましたが、さて舞台に出る
となかなか、」おっしゃるようには出来ず、申し訳なく思いました。
チョット出るだけですが、春日野さんや二條さんにご迷惑をかけて
はと、そればかり心配しています。

 毎日の舞台では、あまりにあっけなく済んでしまって、明日こそは、
明日こそはと、想いながら、今でもまだ思うような演技ができません。
けれども昨日よりは少しでも上達したい、と願いつつ、目下、「アパ
ートのおかみさん」役と格闘中です。


   春日千鶴子

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