『アメリカ暴力史』1972年、アルフォンソ・ピンクニー、アメリカが暴力国家であることの告発

ある。無論、それは日本の片思いに近いし、たまにあるアメ
リカ要人のリップサービスを真に受けて喜ぶ。しかし、アメ
リカほど怖い国はない、常に世界で戦争をビジネスとして行
ってきたが国内事情もその体外姿勢に同調している。
Alphonso Pinkneyの1972の著書、The American Way of Vilence
の邦訳であり、早川書房から刊行された。Amazonの中古本で
入手できる。
「ほとんどのアメリカ人は、口では暴力を認めないという。だ
が彼らは本当は、暴力こそがこの国の専売品であると思っている」
これは著者のピンクニーがある論文から引用した文章だが、こ
の本のテーマはまさしく「アメリカ合衆国とは異常なほどの暴力
的な社会である」こと、このアメリカという国の最大の特色は、
その歴史を通じて国内でも対外的にも「徹底した暴力行為が特徴
になっている」は十分に証明されているという。
このアメリカのという国の骨格はおおよそ次のように表現でき
る。
暴力蔓延の状況を暴力犯罪、戦争、、労使関係、子ども虐待の
四分野から概括し、ベトナムでのすさまじい暴力の行使、歴史の
最初から続けられている黒人やインディアンへの迫害、それに続
くアジア系民族への迫害へろ著者の対象は広がっている。アメリ
カの歴史に流れる暴力行使という一貫した流れは明白であり、そ
の立証に豊富な資料を駆使している。
ついで著者が強調するのは「警察による暴力」の日常化である。
法の執行者である警察がじつは「法の破壊者」という現実、その
典型である「警察暴動」を具体的に述べている。最後辺りにおい
て、「暴力に栄養と報酬を与える」という社会風潮を概観し、こ
のような歴史を見ても今後、それらら改善される見込みはほぼあ
り得ないとしている。
インディアン殺しから黒人殺し、暴力的なアジア人排斥運動、
その後の戦争での世界各地での暴力、この本の出版当時のベトナ
ムでの汚い暴力、
いまなおアメリカを「自由と民主主義の国」、「敬虔なキリス
ト教の国」と信じている人たち、政治的に国民に信じさせよう
という国の指導者たち、はアメリカの本質が徹底した暴力という
事実、現実を見抜かねばならないと力説する。そのために、これ
でもかこれでもか、というほど事実の引用紹介で、それにイヤ
気を感じる読者はいるだろうが、事実に圧倒されるだろう。
だがこの国の暴力国家たることの責任は何処に帰せられるべきか、
という論考はほぼ欠けていることはこの本の不満になり得る。しか
し間違いなくいえるのは、アメリカとは人命より財産を尊重してき
たという歴史である、
この本は「米によって殺傷された、何千万人者黒人、インディア
ン、アジア系の人々、その他広く第三世界の人々」への鎮魂という
意味をも持っている。良心的なアメリカの知識人ぼ謝罪の書でもあ
る。
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