宝塚、懐かしの写真館(236) 昭和14年、1939年の晩秋、、花村由利子、星影美砂子、春日野八千代、朝緑澄子、千村克子、初音麗子


 見上げる空に、秋の白い雲が、急速度で走っている。足早
の訪れる冬、褪せた青草の中から、白いススキが穂を出して
いる、なるほど、山野はしんみりとして、秋を感傷的に見送
っているようだ、堤にたった二人の少女には、何処にもそん
な陰は見いだせない。軽く微笑む少女の瞳には、明日への力
強い憧れさえ見いだされる

  星影美砂子、花村由利子

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 すぐに刈り入れだ、不純な天候に不安げだった農夫たち
にも微笑があふれている。立派な稲穂が出そろった。

 朝緑澄子

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 何処からともなく晩秋が訪れている。武庫川の清流も、
急に冷え冷えとしている。淡い太陽の光の流れが一層美し
い。一輪の野菊をそっと握った少女の頬を、秋風が、なぜ
るようにして吹くと、香りも奪い去され、取り残された晩
秋の花を思わせる。

 春日野八千代

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 一年でも哀愁の漂う秋、憂いと悩みを忘れたかのように
一度に沸いてくる秋の感覚。でもこの二人の乙女には心の
奥深く、しまい込んでいる感傷がある。
 春には青々としていた松野並木が、すっかり黒ずんでい
る。ひしと無縁を締め付けるような冷たく肌を刺す秋風、
こんな風物を心で憂えても口では憂いを忘れたかのように
、明るい生活を二人は語り合っているのだろうか。

 千村克子、初音麗子

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