宝塚、懐かしの写真館(239)玉藻刈子「正月の想い」 『歌劇』昭和10年2月号
昨年のお正月は私たちはまだ予科の生徒でした。試験が
済んだらすぐに待ちに待ったクリスマス、甲乙丙の三組が
さらにまた、いくつかに分かれて自分たちで作った精一杯
の演劇を上級生にお見せするのでした。
私たちは10人でジャンヌの扇をいたしました。あの日は
本当に楽しい日でした。その翌日は東京の実家に帰りまし
た。
家ではお兄様や妹たちとの楽しい正月が待っておりました。
もしかすると、お家での正月もこれが最後になりそうな気持
でした。なぜっていいますと、舞台に立つという仕事があり
ますと、帰りたくても帰れないことが多くなりますから。
……それでそのお正月は本当に大切に過ごしました。
おもに、女学校での友達と精一杯遊び、お父様やお母様に
甘え、妹たちとは喧嘩もしました。去年お正月に計画してい
たことは結果、何もできずに終わってしまて、今年こそはと
決心しております。
月組 玉藻刈子
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