C・N・パーキンソン『パーキンソン氏の風変りな自伝』「パーキンソンの法則」の謎の学者が自己を他人に語らせている

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 よにある「パーキンソン」で著名なものは難病の「パー
キンソン病」にかかわる医学者のジェームス・パーキンソン
と「パーキンソンの法則」で知られる歴史学者、海軍史家の
シリル・ノースコート・パーキンソンの二人である。

 ジェームス・パーキンソンは1755~1824,シリル・N・パ
ーキンソンは1909~1993,およそ時代が異なる。シリル・N・
パーキンソンは最近まで存命であった。だがシリル・N・パー
キンソン、日本語ではwikiもないようだ。英語はある。そのパ
ーキンソンの書いた「パーキンソン氏の風変りな自伝」、

 C・N・パーキンソンがどのような人物だったか、あまり、と
云うか、本国でもろくに知られていなかったという。いわば謎
の人物であるパーキンソンが自らのヴェールをかなぐり捨てて
、その正体を明らかにしようとしたのが本書だというのだ。古
書で入手できる。

 と言って風変わりな自伝である。だいたい、パーキンソンは
何か一癖ありそうな人物という予感はあったが、自伝にもそれ
が表れている。自らを直接語らず、何人かの知人を語り、その
知人に間接的にパーキンソンについて語らせるという構成だ。

 だから自伝とはいいがたい本である。といいつつも、単に
交友録でもなさそうで、自分を舞台にして、それぞれ特色ある
知人を登場させ、パーキンソンの思いのまま、ドラマを演じさ
せているようだ。なんでもパーキンソンは若いころ、旅回りの
一座の舞台主任をしていたという。

 パーキンソンが自らを語らせるため登場させた人物は11人、
父親のウィリアムもいれば、画家、舞踊家のマリリン・ウェイ
ルズ、直接的に最も深い影響与えた歴史学者のエドワード・
ウェルボーン、マレーの高等弁務官だった軍人、テンプラー、
など日本人には全くなじみのない人物ばかり、だがそれはそう
として、知りたいのはパーキンソンとは?であろう。自らを語
らせるための、いわばデコ人形というべきか。

 読めば全く日本人の知らない未知の人物ばかり出てくる、そ
れでおぼろげに、パーキンソンが分かってくる。

 師ともいえるウェルボーンの言葉

 「教育とは虚構だ、均一的に教育された人間の中で単に生き
る能力獲得でしかない」

 「教育とは不利なものだ、実際に自らが体験するまでは誤った
考えで満たされるのだ」

 これらは実はパーキンソンの信条でもありそうだ。

 現代は「彼ら自身になるまでの法則」つまり、その意味は、人
は社会の中で様々な人と巡り会って自らを形成する、、そこに
もまた「法則」があるというのだろうか。日本のタイトルは自伝
と誤解させるが、あながち見当外れでもないかもしれない。多少は
アイデア賞者の日本題である。

 

 

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