三億円事件、警視庁による別件逮捕、冤罪事件!草野信弘青年を結局、死に追いやる
三億円事件が発生したのが昭和43年、1968年の12月だった
か、東芝府中の社員へのボーナスのお金である。現在は口座
振込だからそのような事件は発生しないが。まんまと、かっぱ
らわれた三億円、だが保険会社が損失を負担だから、別段、誰
も結局、損をしたわけではない。なんでも一橋文哉という方は
真犯人とアメリカで対決されたそうである。米軍基地経由だか
ら、警察がいくら三多摩地区を捜査しても無意味だったそうだ
が、真相はどうか、わからない。
その発生から一年後、新聞にいきなり、「三億円事件、有力
容疑者」として草野信弘さんが例のヘルメットのモンタージュ
写真にはめこまれて新聞に載って、でも記事を読むと、どう考
得ても事件に直接、結び付くような証拠も要素もないと感じた。
えらく美男だった。そもそもあのモンタージュ写真からして、
警視庁の実際の過去の事件の容疑者の写真を流用した噴飯物の
インチキな捏造だった。警視庁はこの事件捜査でとんでもない
お粗末な失態を何度も演じている。その最たるものが草野信弘
さんを犯人と勝手に思い込んでの別件逮捕である。アパートで
隣人を脅したなどと、これも言いがかりであった。
この大誤報道、冤罪報道の先陣を切った主犯は毎日新聞で
あった。毎日新聞にはこの種の悪癖が古来ある。
記事を読むと容疑に直接、結びつくものは何もなさそうで、
例えば三億円犯人が最初に金融機関を脅した文面に使われた
「おぬし」という言葉を草野青年も手紙で使っていた、など、
これでなぜ容疑者?と遠くにいても首をかしげるような内容だっ
た。案の定、当時のアリバイが明らかになった。警視庁は全く
荒唐無稽な言いがかりの職質で人を連行したり、悪行は数多い
がそれにしても、である。これで責任を問われない、捜査のミ
スは仕方ない、というレベルではない。
そもそも容疑者扱いの新聞記事掲載から、最初から周囲から
「あり得ない」という疑問の声が上がっていた。高校時代から
無二の親友という会田さん・日本海外旅行社員によると
「彼は全く行動力を伴わない空想的なだけの人物です。現実に
あのようなことをやる可能性はゼロです、また人一倍、不器用
ですよ。バイクのペンキの塗替えなんか出るはずないでしょう。
車も運転はうまいが、方向音痴です。時間の観念がゼロ、ああ
いう作為の極みなどやれるはずがない。もっとも草野自身が、
三億円犯人は別に悪逆な犯罪じゃないから、と疑われてもタカ
をくくっていたフシがあります」
空想癖の強い草野信広青年は実は作家志望で、これまでも何作
か「未完の短編」を数作、、手掛けているとはいう。親友の会田
さんはそれをいつも読まされて閉口していたという。でも郵便で
わざわざ送りつけてきたという。
「でもそれは、いつも尻切れトンボで、構成力もないし、テー
マ性もない、作家なんか無理な話です。泉鏡花とか谷崎潤一郎を
真似たような耽美的な作品が多く、ほとんど原稿用紙12,3枚程度
で中断です。最近もタクシー会社の企業誌に投稿し、ボツになっ
ています。谷崎潤一郎の『鍵』にヒントを得たみたいなもので、
かなりのエロな内容です。なんでも草野信広自身は『ルーズな女
性関係を私小説風に書いた』とか行ってました、まあ草野ほど、
自己顕示欲の強い人間はいないです。そんな彼が本当にあんな事
件をやらかして一年も誰にもほのめかさない、なんてあり得ない
でしょう。私は草野を誰よリもよく知ってますから、マスコミの
騒ぎ方がもうバカバカしくて」
草野信広青年を診察したことのある医師、小金井市前原の共立
診療所の医師、三島治氏、44歳は
「あの人は胃が痛い、動悸がする、血圧が高いと来院されたん
ですが。別に持病はないです。医者の助言を素直に聞くタイプで
すね。目立った患者さんではない、よく勤務先が変わってそのた
日に保険証が切り替わり、それで記憶にあります。どうして、こ
うもしょっちゅう仕事を変えるんだ、と言うと、この会社の方が
英語の勉強ができるとか、いつもジャパン・タイムズなんか読ん
でいて、勉強熱心です。気障な感じは受けません。まあ、丁重に
挨拶する人です。治療費もたまには払えないときもありましたが、
あとになって必ず持ってきてます。支払いもぞんざいに1万円札を
出すんじゃなく、きっちりお釣りがいらないように出してくれま
す。何処から見ても完全に善良な市民です、裏なんてない人です」
昭和41年10月から12月までニヶ月勤務した、小金井市西都交通
小金井営業所の同僚だったという人は
「我々は男臭い職場でね、いつも、おい、オマエでいってますが
、あいつはふにゃふにゃで女性っぽい。優しい口をきくんだな。
ニ、三年はタクシーのドライバーをやって金をためたら、英語を覚
えて美容師になりたいとかね、まあ俺たちには肌が合わないね。運
転技術は抜群なんて云われてますが、別にうまくはないです。不器
用ですよ、、二種免許も散々苦労して取得したみたいで。うちにい
るときも一件、事故をやってます。ひ弱い感じであんなだいそれた
事件なんかできる人間じゃない」
で西都交通をやめて山行交通小金井営業所に拾われたという。
その所長は
「うちには昭和42年1月から1年間いました。まあ、おとなしい男
ですよ。客とのトラブルもないし、ただし勤務成績は冴えないです。
月13日勤務を9日しか出てこない。マイペースなんですよ。夕方、
ひょっこり出てきて、これから働きますとか。もうズボラですわ。
どう考えても三億円事件のようなキッチリした仕事はできないです
よ、客待ちでも英語の本や新聞を読んでいる。仲間とは付き合わな
い、変わっていると云えば変わってますが、趣味は履歴書で創作、
小説の創作だと書いてました。多少勉強家たいぷかな、犯罪の匂い
はしませんよ」
だが、「小金井」は警察が最重要と睨んだ土地である。私が中3
末、病気で入院中、部屋にその病院の親しい親族は骨折とかで、わざ
わざ東京から、小金井で整備工場をやっているとか、仕事をほってお
いて岡山の田舎に来ていいのかな、と疑問をおぼえた。モータースの
前に三億円犯人のヘルメットが捨てられていたとか吹聴していた。
岡山にあった吉備商という学校出てるようだ、今の岡山商大付属高校
かな、とつぜんぷいと行方不明に、創価学会のようだった。『折伏経
典」を読んでいた。
これは余談、では小金井のタクシー勤務、運転技術はうまい?そう
でもさそうだが、三多摩虱潰しで疑われた?それだけで?警視庁は
かってに怪しいと思い込んだようだ、新聞がそれにまた悪乗りして。
根も葉もない、いいがかりだった。
当日のアリバイが証明された。
警視庁捜査一課の武藤三男課長、1969年、12月13日夜7時記者会見
「本日、エンパイア・アエアポート・サービスから事件当日、容疑者
が入社試験を受けていたと判明、これによって容疑者はシロと断定いた
しました」
これも偶然、その日に入社試験を受けていたからこそ、で別に何も
なく過ぎしていたら警視庁に犯人にされてしまっていただろう。
アリバイ確定からニ時間後、14日、午前零時15分、草野信広さんの
記者会見が三鷹署会議室で行われた
父親の草野政広さんに付き添われた信広さん、小さな声で
「今となりましては、今度の捜査は私への愛のムチであると思って
おります。刑事さんについては鬼のように怖い、と思ったこともあ
りますが、刑事さんの職務を考えたら止むを得ないのかなとも思いま
す。むしろ二日間に述べ200人の捜査員を投入し、私のアリバイを証
明していただいたご努力に感謝いたします」
「これから家に帰ってパパとママと乾杯いたします」
記者会見に父親に付き添われ、臨む草野信広さん。
だがこの容疑者扱いは草野さん、ナイーブな草野さんには大きなダメ
ージとなった。人生をその後、さまよい歩いてついに自死を遂げたので
ある。全ては警視庁の白痴的な捜査と言いがかりで人生を破壊されたの
である。
正木ひろし弁護士は怒りが収まらなかった。
「思った通りだ、事件と結びつける証拠は全く何もない。ひど過ぎ
ますよ。昔なら総辞職ものです。だいたい、こんなひどい捜査が行わ
れるのは、現代日本の官憲の堕落だよ、戦後の官僚体制もここまで、
落ちぶれているのかと驚きます。国民は怒って関係者を断固罷免させ
るべきです、しかも大量にです。本当に悪質極まる、おそまつな話で
す。でっち上げの捏造、冤罪だけが得意で真犯人には全然、迫れない。
税金ドロボーもいいところですよ」
この記事へのコメント