フレドリック・ブラウンのショート・ショートはやはり迫力、『スポンサーから一言』、でも正直とっつきにくい

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実は今日、あの星新一さんのショート・ショートを取り上げ
たので、本家というべきか、あのフレドリック・ウィリアム・
ブラウン、Fredric William Brown, 通称、フレドリック・ブラウ
ンのある本、「スポンサーから一言」という邦題の本を読んで
見たらさすがだった。短いものは非常に引きしまっていて長い
とSF小説的になる。邦題は奇妙だが原題はHoneymoon in Hell
である。

 全くショート・ショートなのだが、日本の原稿用紙なら数枚
前後だろうか、まあ、引用するしかないが

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 体は汗と泥にまみれ、腹は減って、寒かった。故郷から5万
光年の場所に俺はいる。

 過去数万年にわたってこの戦いは続けられていた。飛翔兵は、
スマートな宇宙服と親兵器で縦横に活躍した。花々しい、機動
戦が一段落すると、敵地を占領し、それをまた寸地、また寸地
と死守するのはいまだに歩兵の任務だった。

 いま俺のいる惑星は、そこに着陸するまで俺自身は聞いたこ
ともなかった。そこには外宇宙人も来ていた。だから今は神聖
な戦場となっている。その外宇宙人は銀河系内における他の唯
一の知能的な種族で、その残虐さ、醜怪さはさながら怪物だっ
た。

 外宇宙人と我々の接触が行われたのは、銀河系の中心近くで
あり、すでに12000近い惑星を我々が植民地化した後であった。
その植民地化は血みどろの戦いだった。銃を構え、油断なく目を
光らせる。故郷を離れること、5万光年だ。いつの日か、故郷の
地を踏むことができるだろうか、

 その時だ、一人の敵が入ってきて、こちらに近づいた。照準を
定め、俺は発泡した。外宇宙人は、その種族がこのようなときに
上げる恐ろしい音を立てて倒れ、動かなくなった。

 その音と、この目に見る外宇宙人の姿とには、俺は体が震えた。
慣れたらいいがだめだった。

 それほど外宇宙人は気味の悪い生き物だ。たった二本の腕に
二本の足、ゾッとするような白い肌、一枚のうろこせない。

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 ショート・ショートと言うには迫真性があって、深刻味がある。
外宇宙人とは地球人のことである。星新一さんのショート・ショー
トとは味わが違う、ショート・ショートへの原稿料が違うというこ
とだろうか。正直、日本人に外国のショート・ショートはちょと、
とっつきにくさはある。

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