モートン・ミンツ(佐久間昭訳)『治療の悪夢』(東大出版会)製薬会社の巨大利権を暴く

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 現在の新型コロナワクチンを巡る社会状況がこの本を読むと、
いやでも想起されるだろう、メディアが完全にプロパガンダと
超巨大利権の徹底擁護を行い、多少でも常識的な疑問を持つも
のにさえ、激しい罵倒を浴びせる、それが国際的な超巨大メ
ディアも加担だから、この世界に何が起きたのか、のである。

 薬品は疾患に有効性をできる限り持ち、同時にその安全性も
徹底して追求されなければならない。いくら有効でも、同時に
人の健康に害毒を与えるような薬品では存在は許されない。
だが真に生死の瀬戸際で乾坤一擲で使うような薬品は少々の副
作用に目をつぶる必要がある、ことも現実にはあり得る。癌に
よる疼痛の緩和に対し、麻薬は有効である。その処方をためら
ってはならない。トータルに状況を把握して薬品は使われねば
ならないだろう。それには専門知識が要求されるから、ただ医
師を信じてとなるが、実際、医師からの情報提供は大抵、おざ
なりである。情報が提供されても不正確、誤った情報では何の
意味もない。

 この本はそのような点をめぐり、アメリカでの恐るべき実情
を暴き出している。製薬会社の華々しい宣伝セールスがいかに
効果のみ誇張し、その深刻な副作用を隠蔽し、口をつぐんでい
るか、である。

 ときには臨床的な治験で全く効果がなかったような薬品が、
世紀の新薬として売り込まれるという現実、専門家として厳し
くこれらを批判すべき医師、医師会が、製薬会社からのリベー
トなどを得て実質、大きな収入としているという現実がある。
信頼できるものがいるのだろうか。新薬の認可にあたる役所は
製薬と医師会の利権に絡んで、民衆の健康被害は置き去りにさ
れている。メディアも医学界、製薬の利権の擁護に向かい場合
が多い。現在の日本の状況を見ても明らかである。一般大衆は
置き去りにされている。新型コロナという千載一遇の利権製造
機が出てはもは薬品にかかわる良識は雲散霧消であろう。

 本書はあくまで客観性維持のためか、議会の反トラスト法、
独占禁止委員会などの資料の引用が多く、読みにくくもあるが、
そのコンセプトの重要性はますばかりである。

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