宝塚、懐かしの写真館(274)『揚子江』昭和13年8月、宝塚の戦意高揚レヴュウ。揚子江遡江作戦に協賛
ほぼ全メディアが戦争一色の時代、だから宝塚のスタンスも
別に批判できない、とないえ、小林一三が戦前、国会議員であ
り戦時体制協力は演劇団体でもかなり際立っていたのは事実で
ある。昭和13年、1938年の日中戦争、漢口作戦、武漢攻略も
間近という戦意高揚の極みで、そこで出たのが宝塚少女歌劇
『揚子江』
海野啓一:「揚子江」上演について
漢口作戦も進行し、このレヴュウが公開される頃は、或いは
既に陥落しているかもしれない。実は、この間、「軍国女学生」
の映画の試写会で小林一三先生から「揚子江」について書いて
みないか、と云われ、思い立ったのがこのレヴュウである。
私は揚子江に前後三年ああり勤務し、あの濁水の上から見た
支那観、世界観は今でも私の思想の重要な部分となっている。
どことなく、とりとめないあの大きな流れの上に立って、はて
なき曠野に沈む夕日を見る時、誰しも感じるのは天地の悠久で
あろう。
政治、文化、軍事、経済の中心たる武漢三鎮は、ここに鎮座
の蒋介石がここを最後の拠点と頑張っているのも無理ならぬ。
支那事変が北支に導火線を切って、中支に及ぶ時、我が海軍は
重慶から居留民を守りつつ、上海まで下った。このときの困難
さは筆舌に尽くせない、支那の妨害は目に余った。今回のレヴ
ュウは切迫する雰囲気から生まれ、漢口攻略にいたる皇軍の忠
烈なる美談を緯とし、兆候の風物を経として成り立ったもので
ある。
主な配役
上田部隊長 初音麗子
倉地 佐保美代子
喜志中尉 春日野八千代
倉地かよ子 浅路絢子、難波章子
軍医 朝緑澄子
山田二等兵 野花千代子
歌手 二條宮子
西村 豊邦康春子
梅本警部 大伴千春
野八千代 貴志中尉
難波章子 倉地かよ子
谷間小百合 航空兵
大伴千春 水兵、 初音麗子 皆川軍曹
帆影美里、山鳩くるみ、谷間小百合 航空兵
花村由利子、 南朝緒 歌手
夢たづる バレリーナ
穂草むすぶ マリ子
式部若子 踊り子
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