人類史上最悪の統治形態、収容所国家の北朝鮮の体制を崩壊させることは出来ないのか?
最近になって私は初めて北朝鮮の収容所についての本を
読み始めて、そのあまり理不尽さ、残虐さ、野蛮さ、悪質
さに驚きを抑えることが出来ない。代表的な本としては、
強制収容所の警備兵だった安明哲(アンミョンチョル)さ
んの「北朝鮮 絶望収容所」、在日で祖父母、両親らと
北に帰還して強制収容所に家族親族もろとも(母は除く)
強制収容所に放り込まれた姜哲煥(カンチョルファン)さ
んの「北朝鮮脱出・地獄の政治収容所」上下、「さらば、
収容所国家北朝鮮」などだが安明哲さんの著書は日本で
刊行が1997年、姜哲煥さんの著書は1994年に日本で刊行
されているから相当前である。さすがにあまりに不勉強さ
を私は恥じずにはおられなかった。
姜哲煥さん
内容に鬼気迫るものである。何という悪質、卑劣、野蛮、
であろうか、現実には罪なき人をこの世の窮極の地獄に、
全く理不尽極まるこじつけで収容所に放り込んでいる、し
かも連帯責任で子供までである。
また総連から視察旅行に出かけたキムウォンヂョさんの
「凍土の共和国、北朝鮮幻滅紀行」また日本人で赤旗平壌
特派員だった萩原遼さんの「北朝鮮に消えた友と私の物語」
ともに収容所体験機ではないが、北朝鮮という国の恐ろし
を完膚なく述べている。まだまだ本は多いが、これらがまず
代表的で最初に読むべき本だろう。さらに脱北した川崎栄子
さんのKindle電子書籍「暗闇のトンネル」、黄万有「北朝鮮
人喰い収容所」もぜひ読むべき本である。政治論的な本とし
ては羅鐘一著「粛清の王朝 北朝鮮」東洋経済新報社、がま
ず奨められる。そこで著者は冒頭「北朝鮮とは全てにおい
て失敗した国である」と喝破している。さらに韓国に亡命
した元金日成総合大学学長のファンジャンヨプ氏「北朝鮮
崩壊へのシナリオ」である。
まさに史上最悪の統治形態というのを憚らない、宇宙開闢
以来の悪質と野蛮と理不尽を煮詰めたような北朝鮮の実態、
その収容所の姿、現実である。
姜哲煥さんなどは祖父が京都府でパチンコ屋で成功、そこ
で朝鮮総連京都支部の商工部長の要職、日本にいたら富裕な
生活が送れたはずが、祖母が金日成にかぶれて北帰還をしき
リに説得、叔父らも含め、一族で帰還した。祖父は朝鮮労働
党に莫大な寄付をしたと云うのに、全く理由は不明(推測さ
れるものはあるが全く言いがかり)で姜哲煥さんが9歳の時に
突如、兵士らが乱入、部屋をめちゃくちゃに壊して財産没収、
山中の収容所に一族を送り込んだ、祖父は一ヶ月前から出勤
し、消息が途絶えていた。朝鮮総連特別功労賞の記念の贈り
物も兵士に略奪された。それが1977年、8月初旬だという。
とにかく収容所に送られるのは北に帰還した在日が多く、
また徹底した階級社会の北朝鮮は在日のランクがもとも低
く、収容所でも在日だった者は他の収容者から迫害、差別
を受けたという。総連幹部で帰還したものも多くが家族も
ろとも収容所行きが多かったという、資本主義に染まった
スパイというのである。どこおか「地上楽園」だろうか。
ともかく姜哲煥さんは脱北に成功した、また収容所の
警備兵の安明哲さんも蛮勇を振るって脱北に成功、中国の
公安もやり過ごさなければ送還される。姜哲煥さんは韓国
に向かう貨物船の荷物の中に中国人のおばあさんの協力も
あって忍び込んで韓国に亡命した。祖母が皆を帰還に説得
さえしなければ、の痛恨だろう。
ここまで帰還した総連幹部すら多数が収容所に送られて
いるのに、なお総連は北朝鮮との関係を精算しないのはあ
まりの怠慢である。
曽我ひとみさんらが佐渡で拉致されたのは1978年の8月、
帰還した在日を続々強制収容所に送り込んで、他方で日本
人を拉致していたのである。金日成父子の指図である。
拉致被害者も多くが収容所に送られていたという。
北は核開発、ICBMのロケット実験を繰り返している。
収容所での言語に絶した野蛮な扱い、虐殺はつづいている。
核開発と収容所は表裏一体であり、収容者に危険な作業を
強要している。長期囚などは存在しないという、三ヶ月も
いたら皆、瀕死になるからである。
その現実は恐ろしいが、安明哲さんの著書での北に帰還
した元在日女性が収容所で餓死寸前
警備兵の暴言に対し
「私は何も日本人に媚びたりしてないよ、日本人に汚い
やりかたにいやけがさしていて、首領様(金日成)が来い
と言ったから祖国にやってきただけだ。でも祖国ってこん
なものかね、日本から帰ったというだけで、何でこんなひ
どい扱いをするんだ!それが祖国かね!」
警備兵「なんだと、このあま、、その口でどれだけ減らず
口が叩けるか聞いてやろう、お前がいえるのは『助けてくだ
さい』だけだぞ」
次の瞬間、激しいムチの音、ゲエという悲鳴、血を吐くよう
な悲鳴、そこ超えも徐々に消えてムチの音だけになった。
やがて「お前は芝居をしているのか、頭を上げろ」
バケツの水をかけられる音、女性の断末魔のうめき、
『殺せ、殺せ」と足をばたつかせる音、女性は最後の力で自ら
を呪詛した。
「ああ、どうして私は日本からこんな国に来たんだろう、なぜ
見通せなかったのか、夫についてキて、子供まで、故郷と思っ
たら、スパイ扱いさ、日本の親戚は私がどんな目にあっている
かしらないだろう、おい、この犬畜生、私を日本に送り返せ、
もうこれ以上、この国にいるのは耐えられないよ」
「思い切りいいやがれ、そうしたら日本に戻してやるぞ」
「胸が張り裂けるまで叫んでやる、日本に帰せ!」
いい終わらないうちに棒で殴る音、カランと云う固い棒がコ
ンクリート面に転がる音がした。二度と、その女性の声を聞く
ことはなかった。
著者は変われど北朝鮮の収容所体験は地獄絵図ばかりだ、、
このようなことは金日成から金正日、さらに金正恩の方針で
ある。拉致も、テロ行為、ラングーン事件、大韓航空機爆破事
件もなにもかも、金日成らがしらないことは何もなく、すべて
その命令である。
それゆえにこの「体制崩壊」を何よりも怖れているわけで
ある。もし体制が崩壊し、残虐行為の責任を問われたら、という
不安であろうか。
北朝鮮という最悪の統治形態の維持はもう許されないはずだが、
だからこその核開発なのだろう。
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