歯科医師国家試験2023年度、合格率63.5%、厚労省が絶対に65%以下に抑える方針なのに歯学部定員が減らない
医療看護福祉系の国家試験の合格発表が続々である。ちょっ
と異色だったのは社会福祉士の国試、従来は「60%の点数」が
ボーダーラインとされていたが、どうもそういう内規もないよ
うで2019年度だったか、48%の点数で切って合格率25%ほど、
基本合格率は25%あたりに厚労省は据えていたが、2022年度は
「合格率を30%に抑える」ために70%で切るという、あまりに
受験生に無慈悲なご都合主義だった。そこで厚労省も反省した
のか、今年は合格率44.2%、であった。もう合格率30%以内に
こだわらない姿勢を示したにせよ、基本「60%が合格ライン」
という漠然とした内規に従うという姿勢を示したのは事実。
ただし社会福祉士の合格率がずぬけて低かった理由は、科目が
多数、もあるが、通常、医療福祉介護系資格はその養成の学校
を卒業することで国試受験資格が得られるが、そのような意味
での「社会福祉士」養成教育機関はなく、四年制大学を出て、
一定の実務を行えば受験資格ができるという、「だれでも受け
られる」に近い資格だからである。無論、受験予備校的な学校
はあるが、それは法律に基ずく養成機関ではない。それで厚労
省の悩みがあったわけである。
要するに厚労省などが、「どれだけ合格させるか」という、
当該の資格別のコンセプトが重要となる。
一定点数以上なら100%合格させてもいい、厚労省が考える
資格は、医師、看護師、助産婦、歯科衛生士などである。資格の
ランクでいえば、医師こそは最高の資格だが、国は全員通っても
構わない、と云うスタンスである。看護師、助産婦試験も非常に
合格率は高い。全体の合格率は91.6%である。薬剤師試験は試験
の範囲が広く深く難易度自体が高い、学力が医学部ほど高くない
から合格率は70%以下で推移している。農水省関連だが獣医試験
は今年は69%である。合格率である。
その他国試の合格率は80%前後の資格が多い、要は合格ライン
で純粋に判定していると思われる。看護師試験は90%以上で合格
率が推移している。
国が増やしたい、全員合格してもいいと考えている医療福祉系
資格は少なくない、だが、やはり合格点数のラインがある。
国が有資格者を増やしたい、全員合格してもいいと考えている
資格ともう増やしたくないと考える資格の中間に多くの医療福祉
系資格があり、おおむね80%前後の合格率で推移している。
だが歯科医師だけは悪い意味で特別である
極端でなく、もはや歯科医師は増えすぎて、国は一人たりとも
歯科医を新たに世に送りたくはない。合格率0%本音だが、実際
、私立歯科大の経営、また国立大歯学部もあるので結果は合格率
65%以下に抑えるは絶対的な方針となっている。点数のラインは
それに従うのみである。
したがってそのポリシーに従い、今年の歯科国試の合格率は
63.5%であった。
ここで疑問が湧く、歯学部6年間かそれ以上、莫大な経費がか
かる。国立大でも高額である。私立は無論、バカに高い。
だが国が合格率65%以下と決めているのに、なぜ歯学部定員が
減らないのか、である。国立大でも60%台は多い。もう国立大歯
学部を維持する意味があるのかどうか、である。私学も統合し、
定員をへらす方向に向かわないと、歯学部をでても歯科医になれ
ないが続出する。
現実は全く手づまりで改善の見込みはない。
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