懐かしい日本の情景(65)1960年の浦安、「青べか物語」の風景
今は東京ディズニーリゾートで様変わりだが、かっては
「べか船」の漁村だった。「青べか物語」は1960年、昭和
35年の発表だが、その原型は戦前、すでに書かれ、部分とし
て発表されていたのである。1960年、「青べか物語」発表の
年、浦安を訪れた山本周五郎
かって仕事に疲れると、山本周五郎はよく散歩に出た。
浦安在住は戦前の一時期、「沖の百万坪」と言われた広い湿
地帯を隅々まで歩いたという。青べかを漕いで沖まで出たこ
ともある。このあたり、1960年時点では、まださほど風景に
変化がなかった。
「青べか物語」に登場する船宿「千本」は、この吉野家が
モデルだったという。「長さん」は父親の仕事を継いで、母
親と船宿をやっている。
かって山本周五郎が住んでいた家、この一帯は蒸気河岸と
いわれていたので、周五郎は「蒸気河岸の先生」と言われて
いた。
浦安居住から30年を経て、小学生だった「長さん」も年輪
を刻んだ。
浦安はべか船の町だった。大小様々のべか船が町を埋めていた。
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