映画「人生模様」O 'Henry's Full House 1957,O・ヘンリーの五作品のオムニバス、どれがベストか?


 云わずとしれた映画である、20世紀フォックスか、1957年
、アメリカ公開、お馴染みのアメリカの短編作家、O/ヘンリー
の五作品をそれぞれ完全別々のスタッフで映画化したオムニ
バス映画である。ネットでもよく取り上げられてりうので、
何も今さらなのだが。でも、ちょっと、それぞれ完全別スタ
ッフ、別キャストである。それらもまたよくネットで解説さ
れているから、くどくど書く必要もないが、第一話は「警官
と賛美歌」監督はヘンリー・コスター、主演はチャール・ロ
ートン、助演的だがマリリン・モンロー、またデイヴィッド・
ウェインなど、

 第二話「クラリオ・コール新聞」監督はヘンリー・ハサウェ
ー主演はデル・ロバートソン、リチャード・ウィドマーク、
第三話は「最後の一葉」演出ジーン・ネグレスコ、主演はアン・
バクスター、ジーン・ピーターズ、アン・バクスターが『イブ
の全て』に主演していたから、『イブのすべて』組がかなり助
演している。第四話「酋長の身代金」ハワード・ホークス演出
、フレッド・アレン、オスカー・レヴァント主演、第五話は「
賢者の贈り物」ヘンリー・キング監督、主演はジーン・クレイン
とファーリ・グレインジャー・・・・・だがアン・バクスター、
マリリン・モンロー以外は日本人は普通はあまりしらない俳優
である。無論、それは日本での話である。

 O・ヘンリーは自身の苦渋な人生体験もあって、その作品は
誠に人生の機微をえぐり、皮肉の中にこの世の真実を現してい
る。別に強いて芸術性など求めないのはもちろんだが、巧まざ
る芸術性?はないとも言えない。

 で、あくまで個人的にそれがいいか、なのだがそれは原作の
魅力に基本、依存する。どれもこの世の皮肉な苦渋を描いてい
るが、感動的なのは普通「最後の一葉」、「賢者の贈り物」
だろうか。「酋長の身代金」はたしかに面白い、逆転の発想だ。
「警官と賛美歌」は非常に著名な作品で最後が苦々しい、それ
が独自の主張となる。映画の出来まで含めて考えると判定は難
しい。好悪に結局、依存だろうか。原作では知名度で「クラリ
オン・コール新聞」が相対的に低い、ウィットの切れ味もやや
凡庸である。

 で原作のみならず映画の出来で考えたら

 第一話の「警官と賛美歌」組、第五話の「賢者の贈り物」君
の二組をベストとして選びたい。甲乙つけがたい。でも一つに
絞れ、と云われたら第一話「警官と賛美歌」組だろうか。作品
としての「感動」なら「最後の一葉」と「賢者の贈り物」だろ
うが。

 「警官と賛美歌」は何よりも社会の持つ不合理を批判した皮肉
を超えた主張がある。O/ヘンリー自身が、妙な言いがかりで詐欺
罪で投獄された苦渋な体験があるからだ。ブタ箱で平和に生活を
夢見てわざと悪事を働いても見逃され、逆に真人間となって生き
ようとしたら逆にブタ箱に放り込まれるという、その運命という
より『社会の不条理を告発している。

 「賢者の贈り物」これも知名度の高い有名な作品だ。結果、若
威風fの感動的な話である。夫は妻が欲しがっている櫛を買うため
、祖先伝来の時計を売る、妻は夫が大切にする伝来の時計の飾り
を買うため、カツラ屋に自らの髪の毛を切って売る。蓋を開けた
ら、結果、相互にまんまと的外れ、その失意落胆故に深まる夫婦
の愛情、・・・・・見事な話である。

 映画の出来も含めたら原作の知名度が低い、「クラリオン・コ
ール新聞」を高評価すべきだろう。だが原作自体の魅力が基本な
ら多くの日本人は「最後の一葉」をベストとするだろう。

 別井にとやかく、良いとか悪いを論じる必要もないだろう、そ
こに繰り広げられる「人生模様」あくまで邦題だが、・・・・
を味わえば良いのであるから。


「警官と賛美歌」

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 「最後の一葉」

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  「賢者の贈り物」

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 「酋長の身代金」

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 「クラリオ・コール新聞」

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