松本清張『北の詩人』(角川文庫)詩人、北の主張を鵜呑みし、粛清を正当化した松本清張

北朝鮮という国がなぜ建国されたのか、ソ連の衛星国として
、であったがソ連極東郡の抜擢!した(自称)金日成(本名:
金聖柱)はこの世の地獄をもたらしたのは多くの体験者によっ
ての収容所などの記述で明らかである。北に帰還!した日本の
総連幹部も多くが収容所の地獄に叩き込まれ、北に莫大、寄附
した元総連幹部が銃殺刑、家族親族が収容所、もうむちゃくち
ゃである。
さて、この小説、1953年8月に北朝鮮最高裁軍事裁判部で、
一連のスパイ、反革命事件の審理と判決がなされた。はじめ
な韓国にいて、朝鮮共産党の機密をアメリカ諜報部に提供し、
後に北朝鮮に潜入し、北の国家機関や文化団体の中枢にその
地位を得て共和国の転覆を図った、という罪状である。首謀
者とされた者たちが死刑宣告を受けたが、その中に、革命詩人
として著名だった林和、リムファの名があった。彼は陰謀?が
成功したら教育相に就任の予定だった。
この小説は詩人である、林和がいかにして反革命の陰謀に加
わるようになったか、を述べたもので、北の立場に与している。
まだ日本共産党は北と「友好」にあった時代故に、松本清張も
北の立場に立っているといえる。林和スパイ説という北の立場
にたつが、それは金日成がその後に行ったすさまじいでっち上
げの粛清の数々を見れば、やはりでっち上げの可能性が高い。
林和は胸を患い、日本の統治時代、転向し、日本の手先とな
って働いたことがある。日本撤退後、彼はそれを隠し革命運動
に参加、文化界の指導的立場に立った。だが米軍は林和の転向
を知っていた。彼の周りに網を仕掛けた、朝鮮戦争前夜である。
松本清張が云うには、林和の知らないうちに、アメリカのCICは
北への攻撃を計画し、朝鮮を自らの勢力範囲とするため、朝鮮
共産党の機関紙「解放日報」の幹部の主筆を買収し、編集長も
買収した。
開放前の転向の暴露を明らかにされることを怖れ、病苦に悩
む林和は安永達という正体不明の男の手引で、CICの将校に会
い、文化組織の内容を教える一方で、アメリカの情報も知り、
それを主筆の李に伝えた。林和とCIC将校の連絡場所はソウルの
あるキリスト教会だった。朝鮮の独立は双方の信託統治によって
歪められようとしている。さらに「解放日報」の李たちがアメリ
カに買収されていると知ったときは遅かった、という。林和は
もう韓国にいられなくなった。スパイとしてきたに潜入するしか
なくなった、・・・・・・
以上は基本は北朝鮮の判決の言い分であり、、松本清張はそれ
に盲従している。
「赤旗」の元平壌特派員の萩原遼は「北朝鮮に嵌められた松本
清朝『北の詩人』の奇怪な成り立ち」と北の主張を鵜呑みにした
日本のスパイからアメリカのスパイへという決めつけに異議を唱え
ている。その後限りなく繰り返された、金日成の政敵、ライバルに
無実の罪をなすりつけての粛清の最初であった、というべきだろう。
戦争に勝利できなかったその腹いせに責任を無実の者たちに着せて
の粛清、したというべきである。
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