アードマン『1979年の大破局』世界が寒さと飢えの廃墟とかする、この世界を仕切るのは全て「謀略」と喝破する

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 1960年ころから地球は寒冷化し、小氷期突入では、という
危惧が支配的でそれは1980年代半ば過ぎまで続いた。それが、
現在では一気の様変わりの危機意識、無論国際機関や国家
超大企業、メディア主導だが「新型コロナという怖ろしい
感染症と「二酸化炭素濃度が上昇し、温暖化地獄が到来」
特に今後半永久的に「二酸化炭素一元論」はこの地球を支配
する可能性か高い、だが寒冷化の危機に怯えた時期とそれほ
ど時間は経っていない。「気候変動」が完全に政治、社会的
なプロパガンダに21世紀は変貌した、これこそ21世紀の最大
の特徴となるだろうが、それまでの危機意識は実に現在と比
べ、「まっとうさ」が際立っている。

 ところで1984年といえばジョージ・オーウェルが全体主義
国家の行き詰まるような光景をその年の出来事で描いた未来
小説のタイトルだった。「1979年の大破局」はこう始まって
いる。

 「1984年12月、・・・私は1979年すなわち我々がかって知
っていた世界が崩壊したあの年に実際、何が起こったかを書
き残すこととした」

 オーウェルの予測より早く、またオーウェルの思いもよらな
い姿で。世界は破局を迎えた、とこの小説家は書く。

 主人公はサウジ政府の首席財政顧問だったアメリカ人の元
銀行家、である。石油を武器に世界経済を牛耳ろうとするサウ
ジ政府に雇われていた。結論を言うなら、党のサウジ、クウェ
ート、イランなどの油田は人類が一歩も足を踏み入れることの
デキ兄場所となってしまい、世界中がエネルギーを失って寒さ
と飢えで廃墟と化してしまった、のである。

 そこに至るからくり、プロセスは有意義だ、石油価格のカラ
クリ、石油メジャーの内幕、弱諸資本主義国のイタリア、フラ
ンスの国家財政危機、スイスの秘密、武器輸出の論理、銀行経
営の現実、・・・・、つまるところ小説よりはルポルタージュ
だろうか、観念よりは現実である、が時代の見本のような小説
は迫真力を持つ。歴史館で云うなら、ずばり「謀略史観」だろ
う。

 現在は現実が謀略だけに、謀略は嘘だ、という表向きのメ
ディアの態度だが、実は現在こそ、謀略ではないのか、「二酸
化炭素一元論、温暖化は絶対に正しい」と政府もメディアも
言い張る。「絶対正しい」ものが本当にあるだろうか、それ自
体がウソの証明だろう。謀略史観こそが唯一の現実の解明につ
ながるという立場は堅固でもある。

 全てこの世界を仕切っているのは謀略以外の何物でもない。
根拠なきことを「絶対正しい」と国や国際機関、メディア、超
大企業が吠える、・・・・・・謀略ということだ。それを教え
てくれている。

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