沈没船タイタニック号を見る深海ツアーは「ロマン」ではない
確かに沈没船を探査する、例えば17世紀の海賊船と古代、
ギリシャ、ローマ時代の沈没船をダイビングで見るなら、
歴史的興味のロマンと云えるだろう。だが沈没船を個人的に
見ることがロマンとなることはない。特に20世紀以降は悲惨
な犠牲者を生んだ沈没船が多い、民間船にせよ軍艦にせよ、
である。特に事故、また誤って沈められて多くの人の犠牲を
生んだ沈没船、は痛ましく、安易に近寄るべき対象ではない
し、侵されざる墓標とみなすべきだ。無論、公的がそれに準
じる機関による調査目的の探査のみ認められるべきだろう。
ましてタイタニック号のような1500名にも及び犠牲者ととも
に深海にあるタイタニック号は墓標そのものだ、およそ安易
な造りの円柱状の潜水艇での一回、一人3500万円という法外
な料金でのツアーなど、安全性も無視した非常な悪徳商法と
言わざるを得ず、「ロマン」などとニュースが使っている美
辞麗句が妥当する道理はない。
このような危険な営業がそもそも認められている、それが
問われるべきであり、ツアーの体験者が口々に「ほとんど自
殺ミッションだった、生還できたのは奇蹟的」というほどで、
耐久性の乏しい炭素繊維のタイタンが繰り返しの劣化の先に
水圧での崩壊は余りに予想されたことだ。
本当の深海探査艇は各国あるが、日本の深海6500は安全
マージンをとって10050mの可能潜水深度で設計されている。
世界中の深海でいままで1500回以上使用され、無事故である。
まず深海艇は基本、球状が絶対有利で運用も考慮し、楕円形
状になっている。定期的な点検が必ず行われているが、タイ
タンは検査の呼びかけを拒否し続けていた。
ともかくこのような金儲け目的の自殺ミッションを間違っ
ても「ロマン」などと美化しないでほしい。犠牲者は気の毒
だが操縦のCEO?は大きな責任がある。安全性の全く確保さ
れていない自殺的ミッションは冒険のようでも無鉄砲なだけ
である。深海の墓標の金儲け利用が許されるものとは思えな
い。
タイタン潜水艇の破壊分解破片の画像
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