「むすんでひらいて」の作曲者としてのジャン・ジャック・ルソー

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 これも意外と知られていない事実なのだがあの思想家、哲学
者のジャン・ジャック・ルソーは音楽家でり、日本の童謡で通
っている「むすんでひらいて」の作曲者ということだ。もちろ
ん、ルソーが「童謡」を作曲したわけでなく、日本の童謡は曲
へもコジツケである、これはリパブリック讃歌を「おたまじゃ
くしは蛙の子」、クレメンタインを京大登山部が「雪山讃歌」と
歌詞をコジツケたように、その例は多い。だが原曲の作曲者が
あの関連として思いもよらぬルソーは、で最初聞けば絶句して
しまうだろう。

 この点についての信頼できるまとまった本、日本唯一と思う
が海老沢敏『ルソーと音楽』1981,白水社だろう。単純に指摘
しているのが桑原武夫『ルソー』岩波新書、「〈むすんでひら
いて〉の甘美なメロディ、明治以来それはいたるところの幼稚
園で愛誦されているが、その作曲者があのルソーと知らぬ子供、
いや、先生も多のである」、・・・・・まあ、桑原武夫自身が
「いとしのクレメンタイン」の曲に「雪山讃歌」歌詞をこじつ
けた京大山岳部の代表として著作権者であったという事実もあ
る。

 といって「原曲」はルソーの作曲ということだが、その「原
曲」からの変遷は複雑だ、それを日本人として解明されたのは
海老沢敏さんだがその著書(白水社)によると以下のようにな
るそづあ。

 原曲はルソー作曲『村の占い師』中の「パントミム」部分だ
が、それを誰かが少し旋律を変え、民謡風にした。それがイギ
リスに伝わってクラーマーという作曲家によって《主題と変奏
曲》の「ルソーの夢」となった。この「ルソーの夢」となった
のだという。この「ルソーの夢」はやがてウォーカーによって
その《賛美歌集》に加えられ、英米系のプロテスタント教会で
広く歌われるようになったという、賛美歌ではウォッツの歌詞
による《ゆりかご賛美歌》に「ルソーの夢」の旋律がつけられ。
これがフレーベルの幼児教育活動「キンダガルテン運動」の中
に取り入れられ、童謡となる道が開かれたという。

 それが日本で「楽キ景色ノ歌」となって、「見わたせば」と
なって結局「むすんでひらいて」となった、・・・・という長い
旅、変遷の旅なのであるという。

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