磯部秀三『なにがオリオン大星雲で起こっているのか』ブルーバックス、「アクリション説」氷河期の原因を探り当てる

最近は二酸化炭素一元論が徹底され、「氷河期」のwikiも
それに従った書き換えられている。従来は巨視的な多くの要
因子が述べられていたが、現在は「二酸化炭素が減少したから
氷河期、二酸化炭素が増加したから温暖に」おいおい、「人為
的排出至上主義じゃなかったのか?」とも思ってしまうが、そ
の徹底ぶりは正直、人間社会の闇を見るようである。
実際、氷河期を、あの氷の世界と恐竜の時代、極地まで植物
が繁茂していた温かい時期、その落差の大きさを見事に説明で
きるものは、と考えると落差が極端すぎてたしかに不思議であ
ある。「二酸化炭素」一元論で絶対に説明などできないものだ
が、現在の御時世は奇怪である。
その疑問をかなり解明している説が本書で述べられているの
だ。そればかりが内容ではないが。それは「アクリション説」
といもので、アクリションとは星間物質が付着併合することを
意味するという。太陽が数億年くらいの周期で銀河系を一回転
する間に、星間物質の疎密のある領域を出入りすることで起き
る現象であり、これによって太陽からの放射が変動し、この影
響を受ける地球に氷河時代が到来するという。そりゃ、「二酸
化炭素」徹底至上主義でゴリ押しされたらたまらないので、こ
れを知ると安堵するだろう。
この学説が提示されたのは1940年以前だというが、本書刊行
は1980年、その数年前から電波天文学の発展で相当部分、確認
されているという。
すなわち太陽系はオリオン座から伸びた暗い縞の部分を通過
するのに約100万年かかり、これが原因で第四紀において何度か
の氷河期が起こった、のではという考えである。つまるところ
「なにがオリオン大星雲で起こっているのか」は非常に、現実的
に地球の歴史に直結している、ということである。
でも内容はレベルは高く、宇宙論ではなく、宇宙物理学をかな
り修得しているか、専門事典を座右において読まないと理解し難
い部分が多そうだ。ここまで書き込んだ著者の努力は大したもの
の思うしかないが、宇宙物理学も大層な進歩を遂げていたという
ことである。
いまでもオリオンズ、っていうのだろうか。野球である。オリ
オン座は冬の夜空を飾る。ギリシャ神話でなく、さらなる意味を
与えられて、・・・・・だが基本知識はほしい。息が詰まるほど
の世論捜査洗脳の中にある現代、もっと広い視点での思考は解放
的な気分させられる。
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