大阪の西成は最後の拠り所か?一面の真実だが厳しい
さいきんNPO法人生活支援機構ALLの坂本慎治氏が「大阪
に来たらええやん、西成のNPO法人代表が語る生活困窮者の
リアル」が刊行され、話題になっている。
一般論だが、どこであろうと「生活保護」を受けることが
出来るなら、大阪、西成に行く必要はない。だがバックに団
体の圧力を受けてでもいないと、簡単に生活保護は認められ
ないと思う。実際、患者さんを見ていて、本当に体も動かせ
られない、生活状況も健康状態も最悪、「これでなぜ生活保
護が認められないのか!」とこちらまで憤慨したくなるよう
なケースが多いのに他方で生活保護をもらって、悠々とフル
タイムで働いているケースも見かける。公務員も我が身大事
である、云いにくいような団体のバックをちらつかせたら、
あっさり通るが、正真正銘、生活保護が必要と思うしかない
ような人が認められない、のは珍しくない。
そこで大阪、西成だ。現実、この日本社会、だれでも一挙
にホームレスになり得る。それまで安泰でも、実は誰でも断崖
絶壁にあると思わねばならい現実がある。その原因は多様だ。
この点で、普遍的な事実だが坂本慎治氏の認識と全く同じだ。
坂本氏の目標は「死ぬしかない人を救う」だそうだ。社会の真
実を見抜かれている。「生活困窮者に行政のさまざまな支援制
度を紹介し、新しい住まいを紹介するなどの生活補助を行う」
「生活保護は権利である、必要なら受けなければならないも
の」堂々とこう書かれているのは正鵠を射ていると思う。
つまるところ、
「 大阪は生活保護の受給サポートの体制などが他地域より
充実している。
人生に失敗して未来が見えない
大阪に来たらええんや
夫のDVから逃れたい
大阪に来たらええんや
地域の人達とコミュニケーションが取れず、孤立する
大阪に来たらええんや・・・・」
これは一篇の詩となり得ていると思える。
実際、破産、破綻で夜逃げしなければいけない、仕事もない、
住む家もなくした、誰も頼れない、地域の行政も冷酷無比、なら
大阪、西成へ、
バイト時代、ある友人!御影高校を出て関西大、就職せず家に
いるが「夜、寝て天井を見ていたら、あいりん地区にいかなけれ
ばならないのか、と考える」なんて口にしていた。「GO TO
あいりん地区」というフレーズは関西ではいたって馴染みを持つ。
重要なことは、この日本では誰しも、ホームレスになり得る、と
いう真実である。東京にいた大林三佐子さん、離婚し、スーパーな
どでの試食を担当する非正規だったが、コロナ騒動で職を失い、家
賃も払えず追い出され、行政へ相談もせず、無惨に殺害された。
では人生に破綻が生じ、住む家もなく、収入もない、となって
大阪、に行く?ただ大阪ではダメで西成でなければならない。ま
ずこれは難しい。私も長く大阪周辺にいたが、大阪市内の、上本
町にあった大学に通っていたこともあるが、西成に、また天王寺
さえ行ったこともない。あの頃は天王寺も本当に汚かった。環状
線の桃谷でもいやだった。近づき来たくない、・・・・・まして
大阪育ち、居住でもない人が実際、破綻し、人生を転落して、で
は西成に行けるだろうか。南海電車「萩ノ茶屋駅」、阪堺電車「
今池」駅まで生き、降りられるだろうか。駅舎にも異臭が漂うの
だ。まして、あいりんのど真ん中、三角公園の真向かいの坂本さ
んのNPOの事務所に行けるだろうか、これは有機と度胸がいる。
なら地方で生活保護、まず門前払いされる可能性が高い。
坂本さんは「大阪あいりん地区は生活困窮者の聖地だ!」と
咆哮されている。確かにその通りだ、難は足が向かない、行けば
どうあんるものでもなく、専門に、あいりんで生活保護を請け負
うのような専門の人達の世話にならねばならない。余談だが、私
の高校、OBに三山さんっていて「釜ヶ崎人情」の作曲をされて
いる、・・・・・・現実は、迷わず坂本さんのNPO法人事務所
を目指すしかないが、果たしてそれが出来るか、である。ただ
釜ヶ崎に行き、日雇いではダメなのである。およそ怪しい支援
団体も跳梁しているのだ。
すべてを捨てて、とにかく生き延びよう、というなら、あいり
ん地区はありだが、実際、甘くはない。
坂本さんの本にも出ているが、「高齢になって基礎年金だけ」
というケースは年金を辞退し、生活保護を受けるべきだ、という
こと。「年金」は年金となるのは、みっちり正規雇用のサラリー
マンを勤め上げた人だけに言える話、で「基礎年金だけでも工夫
すれば最低限の生活は可能」は大嘘ということだ。これも重要な
指摘と感じた。
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