高校女子駅伝、栄華を極めた興譲館は衰退するのか?根底に学校の経営難、奥本選手(大分東明)ら主力流出、部員数激減、興譲館は終わったのか?

  20231225-00000009-tos-1-00-view.jpg
 昨日の高校女子駅伝、興譲館高校は28位、まず唯一の実力
者とみなされ樋口選手が一区、あまりにハイピッチレースに
ペースを崩され、よもやの27位、昨年大会は区間7位の好走、
岡山県予選でもぶっちぎり、だったのだが、私が陸上選手で
唯一「ファン登録」している選手だったが、無念の結果。も
はや二区以降の未経験な選手はその遅れを取り戻す力はなか
った。・・・・・だがなぜ主力選手がいない?

 今大会、花の一区を爆走した大分東明の奥本選手は2年ま
では興譲館高校に在籍したが転校した、この事情は毎日新聞
に詳しく述べられていたが、「チームと考えが乖離」とそこ
にはあった。だが違う、興譲館高校そのものの経営難が根底
にある。少子化、人口減少はいずこもだが井笠地区、井原市
、笠岡市はともに人口減少、少子化だが山陽線の通る笠岡
市に比べ、交通の不便、わずかなバス便に頼る井原市は一
般生徒募集という点で非常に不利であり、さらに近隣エリア
において従来の私立が次々に中高一貫に刷新、生徒募集とい
う点で優位性を増しているが、その点、旧態然の興譲館は
一般生徒募集でますます競争力を低下させ、そのことによ
る生徒の減少による経営難、つまり資金難が女子陸上部に
深刻な影響を与えているのである。その結果が主力の流出
で高校陸上長距離の至宝とされるエースの奥本選手、また
銀河学院でアンカーを走った細見選手など、続出したのだ。
部員数も激減、名門興譲館はわずか9名の部員数となってし
まった。ここから来年、卒業、また新入部員も期待薄であ
り・・・・・。27年連続の高校女子駅伝、岡山県代表の座
座を明け渡す一気の崖っぷちという危機と言わざるを得な
い。高校そのものの改革を怠ったツケの噴出である。数年
前に退任した校長の悪評、収まらない暴力事件、増幅する
不信、不満、もう入るべき学校ではないとの酷評も経営難
に拍車をかけている。高校の校長失格で、また大学教授、
なぜ生え抜きが登用されず、奇妙な外部から、単に陸上部
の問題ではあるまい。すでに高校全体の生徒数が300人さえ
下回るという経営の、存続の危機的状況なのである。

 健闘した銀河学院のアンカー、細見選手、興譲館から転
校である。

 f_17162530.jpg

 そもそも、・・・・・・

 高校での転校など非常に例外的で滅多にない。2年まで
興譲館で3年で転校など、よほどの事情というものだ。
一般生徒の募集難が長く続き、さらに悪化である。陸上部
の予算の削減、それは奥本選手などに深刻な危機感を与え
た。たとえ問題があっても2年まで興譲館なら、もう卒業
までと普通考えるだろう、それを振り切って、奥本選手だ
けでなく有力選手が興譲館に見切りをつけたのである。
「興譲館は終わった」との世評も今回の結果にそのまま現
れた。樋口選手も卒業、あとに続く選手で実力者はいない。
学校側と陸上部、駅伝チームとの間で相当な軋轢があった
ようだ。ここまで主力選手が高校を転校はちょっと例がな
いことである走り終えた奥本選手へのインタビュー、彼女
は号泣し、「恩返しが出来ました」大分東明高校にである。
興譲館がいかにひどかったか、を示すものだ、重要なこと
は「恩返し」の意味だが、2023年4月に興譲館高校の女子
陸上監督の藤井監督、地元出身の藤井監督がまさしく大分
東明高校に移り、それを追う形で奥本選手も大分に転校し
たのである。あたかも沈没船から一斉に逃げ出すような、
監督も選手たちも、後任監督は縁もゆかりもない関東一高、
日大出という、・・・・・なぜこのような事態に、それが
興譲館高校の入学者減少、地域の少子化、過疎化、経営難
という構造的な事情だったのである。

 さて、・・・・・

 高校女子陸上、特に駅伝となると指導者に力が帰趨を決め
る。指導者あるところに好選手は集まる。あらゆる競技で、
これは原則だろう。興譲館は全優勝二回、表彰台は数多く、
入賞は当たり前、求めるのは優勝、という栄華を誇った、そ
の(最初から全期間ではないが)森政監督の手腕であった。何
年か前、森政監督が退任した。「森政監督は引退?」と思っ
てしまうが実は県境を挟んで興譲館のある岡山県井原市と隣
接の広島県福山市大門の銀河学院の女子陸上部監督になって
おられたわけである。

 銀河学院の前身は私立の福山女子高校、設立時期はわりと
新しいが共学化し、銀河学院というなかなか素敵な校名に変
わった。歴史が浅いゆえの融通無碍さで中高一貫どころか、
小学校まで併設するに至っている。興譲館は異常なまでの歴史
の古さを誇るあまり、私立学校としての変革がなし得なかった。
多分、昭和10年代初期に創設、元は裁縫学校だった須磨学園、
裁縫学校から須磨女学校、戦後は須磨女子高となったが全くも
って低迷時期が続いた、が男女共学、中高一貫の須磨学園に変
身を遂げて進学成績、スポーツ、特に駅伝で驚くべき成果を出
すに至った例を学ぶべきである。興譲館は高校女子駅伝27年連
続出場だが、須磨学園は35年連続なのである。須磨学園に学ぶ
べきは駅伝強化のみならず、学校自体の改革、魅力の向上を
図り、私立学校としての経営を健全なものにすることだ。だが
、そう考えると人口減、少子化著しい井笠地区、特に井原市と
いう通学困難なまちに立地という困難さがある。津山市にあっ
たサッカーの作陽が倉敷市に移転、作陽学園と刷新したのは、
まだ昨年である。興譲館はそれもまず無理だろう。非常に歴史
が古い、卒業生には作詞家の藤浦洸さん、また労働大臣も歴任
した藤井勝志さんなどもいるのだが。しかし、一貫し、偏差値
的には非常に低い私立高校という位置は定着していたのは否め
ない。進学校への脱皮はまるで叶わなかった。井原市という立
地がやはり根本的なハンディである。

 重要な点は岡山県の井笠地区、笠岡市、、井原市と福山市は
一体のエリアということである。備後工業整備特別地域の範囲
でもあった。だが県境がある、元来の県は「小田県」、「深津
県」といって備中と備後が一体の県であった、が備後は安芸と
バインドされてしまった。・・・・・が県境はあろうが、その
エリアは同じである。

 森政監督が銀河学院に移り、その後、興譲館は女子陸上の監
督が頻繁に入れ替わる、という不安定なものになった。主力選
手の転校が相次いだ、興譲館の経営難に見切りをつけたのだが、
転校と云ってそれはかっての興譲館の黄金時代の監督だった
森政監督のいる福山市の銀河学院となる可能性が高かった、の
は当然である。もっとも実力者の奥本選手は隠岐の出身で、な
んと家族で大分に移った。残った唯一の有力選手の樋口さんは
現在は井原市となった美星町の出身で純然たる地元なので興譲
館に踏みとどまったと思う。

 この動きから「興譲館は終わった」という声も聞こえてくる。
あの栄華を誇った興譲館の女子陸上、駅伝がついに、その全国
トップの力を長く継続させたのはまさに想像を超える艱難辛苦
だった、森政監督の下である。興譲館の女子駅伝が衰退すると
したら本当に寂しい話である。指導者を失い、さらに経営難と
いう深刻な問題の襲来である。

 経営難の貧すればドンするから、アホらしいようなミスキャ
ストを連発、不祥事もあいも変わらず、陸上の実力ある女子選
手などは指導者もろとも興譲館に見切りをつけて出てしまうの
である。


 銀河学院は興譲館とエリアは同一なので、つまるところ有力
選手が興譲館でなく森政監督の銀河学院に入るということであ
ある。銀河学院は「広島県」だから世羅高校に勝たねば都大路
は走れない。興譲館は岡山県で無敵の時代も終焉、倉敷が女子
でも台頭しそうな気配がある。すでにそうなのだが。井原市
という地理的状況も不利になってくる。いままでの興譲館の超
努力がなし得た栄光だったが、それもついに、という思いがす
る。銀河学院も興譲館も茨の道であるが、銀河学院は洋々たる
上げ潮、興譲館は存亡の危機である。


   ★井原市議会の興譲館高校への補助の陳情についての
  質疑   2019年

 陳情第 2号 学校法人運営費補助金拡充の要望について
賛成の討論
18番 森 下 金 三 議員
「陳情第2号学校法人運営費補助金拡充の要望について私は、この陳情は採択すべきであ
ります。従って委員長報告には反対の立場で討論をいたします。
井原市の誇る興譲館高校は初代館長阪谷朗盧先生以来創立160年以上経過しておりま
す。朗盧先生は美星町九名の出身であり、芳井町簗瀬の桜谷において塾を開き、その後西
江原で興譲館を創立し今日まで続いていることは、皆さん承知の通りです。その間多くの
生徒を育成しております。興譲館高校は我々の時代は公立高校や他の高校の受験に失敗し
た人たちの受け皿としても多くの生徒が助けてもらってきた経緯があります。今、少子化
で生徒数も大幅に減少し経営が厳しい状況は陳情趣旨を見て承知したところであります。
郷校として、また井原市の文化遺産としても、このまま伝統ある興譲館を井原市民として
も見過ごすわけにはいきません。こうして陳情されたことは、藁をもつかむ気持ちで、切
羽詰まった状況であると思います。井原市民、井原市、井原市議会が、この郷校を守って
いかなければ誰が守るのですか。井原市議会はこの陳情を重く受け止めるべきです。
全国でただ一つの高校、それは創立以来校名を変えず他校との統合をせずに来ている学
校は興譲館ただ一校です。こうした伝統ある興譲館をなくしたら取り返しのつかないこと
になり、後悔する時が来るのではないでしょうか。
興譲館高校の経営努力はもちろんですが、井原市としてもできるだけ援助すべきであり
ます。
今議会の一般質問で、ある議員が子どもにお金をかけるのは投資であり、お年寄りにお
金をかけるのは経費であると言われたが、実に的を得た言葉であると思います。この際、
思い切って投資をしていくことを切に願います
中国のことわざにありますとおり、事の是非如何を顧みるのみ。成敗に至りては天なり。
従って、陳情2号は採択すべきであります。以上で討論を終わります。」
12番 三 輪 順 治 議員
「ただいまの総務文教委員長の報告にありました陳情、学校法人運営補助金拡充の要望を
取り上げないという件に関して、反対の立場で討論いたします。
興譲館は、多くは今日は語りませんが、今日160有余年を過ごされております。そし
てその間、この地域に与えた経済的、社会的、文化的、色んな意味での意味は大きいと思
います。今直ちにこれだという事はありませんけども、将来への投資、並びに過去幾多の
先人も、この興譲館の運営に関して大変な努力を払われております。これはですね、ちょ
うど興譲館が創立160周年をお迎えになった時に、芳井の歴史民俗資料館で興譲館のあ
ゆみというのを展示されたものでございます。私も展示内容を見ました。学生の確保、学
校運営費の確保を非常に先人以来努力されています。例えば明治34年においては興譲館
経費にかかる郡費補助の儀懇請書がでております。こうした幾多の困難を乗り越え、今日
までおいでになっておられます。私たちはこれを無駄とせずに、なお50年100年続く
井原市が残せる文化的な教育拠点として、この興譲館高校の存続は当然然るべきであって、
そのための前提となる井原市に対する補助金の拡充要求は、私は議会として陳情を受けた
以上、お受けするのが私は当たり前であるというふうに考えておるとこでありますので、
本陳情書は採択すべきと考えております。」
16番 佐 藤 豊 議員
「学校法人運営補助金拡充の要望についての陳情に対し、採択すべきとの立場で討論を行
います。
今会の陳情に際し、総務文教委員会で参考人からの陳情要望を伺い、各委員からの質疑
の後、採決され、賛成3人、反対3人の同数を受け、委員長の判断で不採択とされました
が、傍聴していた私としては、参考人、また学校関係者の学校運営と学校経営に対しての
今後の改善とビジョンに前向きさと決意を強く感じたところであります。
興譲館高校は、創立164年を経過した歴史が残る稀有の高校であります。その歴史の
中で、地域産業の発展に貢献された多くの人材や本市の経済基盤を形成された人材も多く
輩出した郷校としての存在は大きく、今後も地域の高校として存続を強く望むものであり
ます。
近年では、急速な少子高齢化の中にありながら、学校の特色と個性を大切にしながら、
白鹿洞書院掲示の精神のもと、文武両道の私学運営に励まれ、オリンピック選手の輩出、
甲子園への出場、全国高校駅伝での活躍で市民への元気発信に大きく貢献してまいりまし
た。また、大学の進学においても、国公立大学や有名私立大学への進学を増やすなどの成
果を聞くところであります。
そうした、学校、生徒の取組状況下にありながら、少子化による300名を切る生徒数
では経営的にも大変厳しい状況下に置かれていることも充分理解できるところであり、陳
情の趣旨を重く受け止め、今回の学校法人運営補助金の要望についての陳情については採
択すべきと考えます。」

この記事へのコメント