トヨタに完全服従する便利な奴隷として徹底利用されつくしたダイハツの悲劇

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 このたびのダイハツに形式認証試験不正が発覚したが、
その範囲は広く衝突試験における加工した金属板の使用な
どだけではない。おかしいのは「トヨタの100%子会社でな
ければ潰れている」とメディアのトヨタ礼賛の流れの記事
も見受けられるが、それ以前にトヨタの子会社でなければ、
そもそも親会社、トヨタからの激烈なプレッシャなくして
あのような長期間の認証試験不正などまずあり得なかった
ことは確かである。トヨタの子会社になったからこそ、の
発展、拡大はあった、それは紛れもない事実。だが、親会
社のトヨタにすればダイハツは道具なのである、ダイハツ
はトヨタ系となって1998年、トヨタの子会社、連結決算の
対象となる正式な子会社となり、2016年には株式100%保有
の完全子会社となった。トヨタの思いのままの道具、はっき
り言えばトヨタには何も言えない奴隷化である。

 自主独立のダイハツは消えた、ダイハツの立ち位置は難は
あったにせよ、1トヨタの子会社化されるほどの理由はなかっ
た。トヨタにすれば小型車部門をダイハツの任せる、という
ことであり、「子会社化」以前から小型車のダイハツ委託は
相当程度行われていた。例えばスターレットの5代目、EP9
#は設計、製造は完全にダイハツに依存していた。1996年の
リリースである。設計段階からダイハツ、ただしトヨタブラ
ンドで販売だから厳しい要求を課されていた。私自身、この
EP9#のスターレットに3年ほど乗ったがボディ剛性以外、い
い印象はない。設計段階から任せるから、といって自在にで
はない、その真逆である。トヨタの意思、命令に沿うもので
なければならない、あらゆる点でである。

 トヨタの子会社であること、株式保有はますます増え、2016
年には完全子会社となったのだが、トヨタは子会社は徹底して
利用し尽くす、換言すればこれに全てがある。新たな小型車の
開発には厳命がくだされた、設計、開発から製造、販売に至る
その期間の絶対化、トヨタの命じる機関内に全て完了しなけれ
ばならない、コストは厳しい制約、部品調達はトヨタの指示、
命令を厳守である。なにせ親会社はトヨタなのだ。そのプレッ
シャーは想像を絶する。

 認証試験の不正は34年に及ぶというから1990年頃からとなる
が、その不正が増え始めたのは2014年から目に見えて急増して
いるという。トヨタへの小型車供給、アジア市場の開拓を担わさ
された、・・・・・からだが、だからより試験を厳重にではなく、
偽装試験、不正試験に走ったのである。今夏の不正騒ぎもアジア
向け車種の不正試験の内部告発が始まりだった。2011年頃から、
さらなるコスト削減が命じられた。同時に社内の「法規認証室」
のスタッフが大幅に減らされ、事前の安全試験などの評価の人員
数も半減以下に減らされた。法規認証室のスタッフも正規の研修
もなく配属され始めたという。

 トヨタのコスト削減、期間短縮の厳命にダイハツ側が抗する術
はなく、100%子会社という奴隷化した惨めなダイハツの姿が浮き
彫りにされる。不正の範囲は広がった。不正に試験を突破のため、
常識ではあり得ないような小細工が弄された。その結果、限界状
況での危険だけでなく日常的使用の際の重大な危険も発覚してい
る。

 トヨタはダイハツを子会社として育てにせよ、それはどこまでも
トヨタの利益のための思いのままになる道具としてである。徹底し
たコスト削減、トヨタの言いなりのコンセプト、開発機関の短縮、
開発費用のこれも徹底したコスト削減、

 第三者委員会は「組織的不正はなく、現場が勝手にやった」と
う、やっぱりという主張だが、誰が見ても現場だけで出来ること
ではないと疑念を呈している。根底にある構造はトヨタに利用さ
されつくし、言いなりになるダイハツの悲劇の実態である。

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