『太陽黒点から語る文明史』桜井邦明、1987、太陽活動と気象学を見事にブレンド、歴史的記述も面白い


 今や、唖然とするほどの思想統制が行われつつある。一事
が万事というもので、すべて国連IPCCのドグマというのか、
もはや狂信が高じて破裂しそうな気配さえ感じる。例えば、
YouTubeで「5億年後の地球」というタイトルのど動画、もう
人類など消えて、人類はせいぜいあと5000年生存というのが
常識のはずを、わざわざ「背景」として「国連」が「気候変動
とは人類による人為的CO2排出による温暖化です」といちいち
載せているのである。雄大な未来の説明に「人為排出のCO2が
宇宙を支配しています」とでも言いたげ、事実、言いたいのだ。
だから地球の気候、環境への太陽など巨視的な宇宙の影響は徹
底排除される情勢のようだ。

 それゆえ、この本は1987年、それほど古くはないが、古いと
IPCC的狂信に取り憑かれた者たちから攻撃を受けている、アマ
ゾンのコメントを見ても最近の洗脳された者たちの頭が見え透
いてくる。

 ともかくも、である、天文学者によって書かれた太陽の本は
当然ながら太陽の地球への影響など、些細なもんだでしかなく、
太陽それ自体には詳しくても、地球にどのよううな影響、どの
程度の影響があるのか、言及されないものだ。

 著者は純粋な天文学者ではないが、実にあっさりこれを乗り
超えている。

 気象学者は実は太陽の影響をあまり論じない傾向がある。なぜ
なら太陽については素人だからである。相関のメカニズムを論じ
る場合でも、せいぜい地球大気の説明を論じるのが精一杯のよう
だ。気象学者の知識の欠如をこの本は補ってくれるものだ。

 著者は歴史好きのようだ。天文と気象の境界領域の問題を巧み
に融合、というのはブレンドし、主として中世以来の歴史の背景
に、歴史家が思いも染めなかった自然の変化が潜んでいることを
暗示する。

 プロローグ「小氷期」の時代は、マザーグースの中世のペスト
を歌った詩から書き始められる。著者の、確か旧著『太陽の謎』
1982と同じではないか。だからこの本も旧著に似ているが、より
地球の気候へと重点がかかっている。太陽から黒点がほぼ消えた
「マウンダー極小期、1645~1715,と小氷期の関連について焦点
を当てている。

 正直、国連などの思想統制が顕著な現在、悠々たる気持ちで太
陽と地球の関わりを考えて歴史に思いを馳せるのも愉しいことで
ある。太陽黒点と文明史にかかわりがあることも感じさせられる。

 マウンダー極小期、Maunder Minimum

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