周庭さんさえ、スパイに仕立てようとした中国
昨日のニュースでテレビ東京の取材に対し、カナダに亡命し
た香港の人権活動家、周庭さんはカナダ留学の条件として中国
の国家警察からカナダでのスパイ行為を強要されたという。本
当にでは周庭さんがスパイを受諾したのかどうか、この点、応
じなかった、と言葉を濁した感じの周庭さんだが、私はカナダ
に脱出のため、表向きは国家警察にスパイ活動に応じる意志を
示したのではないかと思う。それは、とりあえずの方策で賢明
だったというべきで、中国を離れてしまえば反故に出来るから
である。

それにしても、香港の象徴的な民主運動家、人権活動家の
周庭さんを逮捕拘束し、獄に繋いで釈放後、カナダ留学をスパ
イ行為を抱き合わせで提示するとは中国の実にスパイ国家ぶり
がわかるというものだ。確かに民主運動家にスパイ依頼、強要
は「まさか」の意外性を持つ。中国の国家権力に逆らう人権活
動家、民主運動家は西側にはまず信頼されるから、これらを
スパイに仕立てたら効果絶大だろう。
無論、世界の国々は諜報活動を行っている。日本ももちろん
だが、日本国内で問題化したのは北朝鮮の工作活動がひときわ
関心を引いたものだが、実は最大の日本国内のスパイ活動は
中国と思って間違いない。なにせ、日本は外国人でも土地の取
得が可能という、「相互主義」を採用しない、大海人の国であ
る。中国警察も、日本にその拠点を相当箇所、築いていること
は疑いない。日本は政治亡命を認めないが、かりに周庭さんが
日本に政治亡命を行っても、日本はスパ天国で周庭さんの安全
をそもそも守ることなど出来ないわけである。
日本国内でのスパイ行為についてはかってソ連KGBのスパイ
でその後、ソ連を捨てたS・A・レフチェンコ著『KGBの見た日
本』という貴重な本がある、1984年に日本でも翻訳が出た。
レフチェンコは日本専門のスパイ訓練を受け、ジャーナリス
トを装って入国、スパイ活動でソ連に大きな成果をもたらした。
その告白書である。レフチェンコが云うには、日本はスパ天国
であり、効果的な防諜は全くと云っていいほど機能していない
という。政治経済、軍事上の重要情報や先端技術は難なくソ連
人とその協力者によって日夜、ソ連に船積みされ、空輸された
という現実は驚くほど明確にされている。
レフチェンコは政財界人にターゲットを定め、与党、野党を
問わず政治家も取り込んで重要情報の入手に成功したという。
野党政治家など、多くは喜んで日本のあらゆる情報を打ち明け
たという。日米関係の離反、日中関係の進展も阻止し、日ソ関係
改善の雰囲気作りにも没頭する。
この本はスパイ成功物語だが、ゾルゲが近衛首相から重要情
報を入手し、またルーズベルトの側近、ヒスがソ連のスパイだ
ったことと相まって、常に権力周辺にスパイを送リ混むのが常
套手段だったという。
だがそのレフチェンコモ。自らのスパイ活動に疑問を憶え、
ソ連政府の権力構造、KGBの政策に矛盾、良心の呵責を感じて、
世界平和のために祖国を捨てるに到るプロセスは共感を覚える
ところである。日本のスパイ天国ぶりを熟知していたレフチェ
ンコは日本にスパイ防止法が必要と力説する。もう出来ている
のかどうか。
日本には中国人が多いうえに、中国警察の拠点もすでに何箇
所もあるという。今後、中国に対日スパイ活動は活発化の一途
であろうから、民主主義国家ならでは防諜は必須であろう。
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