秋田實(漫才作家)の学生時代の左翼活動の「本気度」について

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 あの高名な漫才作家、秋田實(1905~1977)について、その
大学時代(東京帝大文学部支那語科、旧制高校は大阪高校)の
左翼活動についての疑問である。この点については文献は
限られている、本人は何も述べてい。Wikipediaの「秋田實」
においては

 「在学中に新人会に入会し、左翼活動を行う。ただし秋田實
の左翼活動は藤沢桓夫に認められたいことが動機で、左翼思想
や活動そのものには意欲的でなかった」とある。出典はと見れ
ば「浦和男『作家秋田實とその時代』、「水門」第29号、勉誠
出版とある。

 この点については「上方芸能」1978,第56号にそれとは異な
る内容というのか、ニュアンスの記事がある。秋田實追悼号で
あり、その追悼文のなかで同志社大学の山本明教授は秋田實の
空白期ともされている大学時代、に光を当てている。厳しい
階級闘争の思想から実生活派に転じる足取りをわりと克明に追
っている。

 秋田實が在学中に「辻馬車」や「大学左派」に林熊王なるペ
ンネームで小説を発表していたことは知られているが、全協(
日本労働組合全国協議会)傘下の日本金属労働組合で機関誌部員
として、半非合法の活動を行っていた頃、機関誌部の経費を稼ぐ
ために雑誌「犯罪科学」の編集を行ったり、いくつかのペンネー
ムを使い分け、記事を書いていた、というのである。

 「犯罪科学」は武侠社を発売元としてエロ・グロ・ナンセンス
時代の雑誌で、真の狙いは別にあったのかどうか。これを単純に
「藤沢桓夫の気を引きたいから」だけと見るのは全く至当とはい
えないだろう。その後の庶民のお笑いへの道も、この時代が実は
意味を持つのではないか、というおとである。

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