天井桟敷(寺山修司)への唐十郎劇団(状況劇場)の殴り込み、唐十郎に分がある

天衣無縫の演劇家、作家、芸術家で世俗的名声(芥川賞、
文化功労者)も得た唐十郎さんが亡くなられた。自宅内での
転倒が原因だそうで本当に注意しなければならない。
唐十郎さんの多様な武勇伝、事故の芸術的信念の貫徹によ
るす騒ぎ(例えば新宿西口公園事件)もあるし、また武勇伝
は数限りない。その意味でラジカルさではライバル視された
寺山修司を遥かに上回っていた。・・・・・で、よく知られ
た事件で1969年12月の唐十郎、状況劇場団員らが寺山修司の
主宰の天井桟敷に殴り込んだとされる事件、これは、・・・
天井桟敷に唐十郎が送った花輪が「中古」だったことへの、
寺山修司の意趣返しというので「葬式用」の花輪を唐十郎側
に送ったこと、・・・・・に起因だが、これをどう考えるべ
きかである。
お祝いの花輪は中古が当たり前であり、名前の部分を変える
だけである。まるっきり新品の花輪など多くはない。それへの
意趣返しで「葬式用」花輪を寺山修司が唐十郎側に送ったこと
こそ、非礼、非常識の極みである。
ということだ。唐十郎は「真意を聴きたいと思っただけ」だ
ったが、寺山側が喧嘩腰で対応なので殴り合いとなった、とい
うことだろう。基本、唐十郎、状況劇場の言い分に分がある、
ということである。
また新宿西口公園で機動隊に囲まれての演劇貫徹、は日本演
劇史、不朽の功績!だろう。

寺山修司は早世し、天井桟敷は潰えてしまった。逆に唐十郎
は長生きして、多くの家族、縁者をもった。長生きすれば栄誉
もついてくる。別に栄誉がほしいと思ったはずもないが、辞退
するのも煩わしい、ということだろう。勲章でもないし。
芥川受賞「佐川君からの手紙」、佐川作の「霧の中」のほうが
遥かに面白いとは思う。だが唐十郎さんも才筆ではある。稀代の
ラジカル、演劇家、主宰者、劇作家、であった。活動性を完璧に
備えたという点で類をみない存在だった。偉大である。
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