「小京都」として京都にあやかって、その残りカスをいただこうという思惑「小京都会議」の発想に疑問


 「全国小京都会議」なるものがあり、38の市が加盟してい
る。正真正銘の京都市も加盟している。加盟の条件は①京都
に似た自然環境②京都と歴史的なつながりがある③日本的な
伝統芸能、産業がある、・・・・・の中の一つに該当するこ
とが加盟の条件という。非常に加入の要件が緩やかであるか
ら全国の多数の市が加盟、同一県内でも複数が加盟している
ケースも多いようだ。

 1985年に京都市を含む27の市町で発足、これまで63市町が
加盟したが現在は38になっている。最盛期は1999年の56、だ
ろうか。脱退も多かった。小京都の代表的存在の金沢も脱退
している。そもそも京都と都市の沿革が似ているなら平城京
の奈良くらいしか小京都はないが、それぞれ独自のものである
ことは言うまでもない。日本的な伝統情緒を持つ街、なら数多
歴史も景観も伝統も非常に京都的という街は実は存在しない。
正直、「京都に似ている」と思える街は私の見る限り、ほぼな
いと思う。京都はどこまでも京都だけだ、京都にあやかって
、その残り滓でも、という発想は疑問である。それに多くの
加盟していた市町が気づいたわけである。

 おかしいのは尾道市が小京都会議加盟、人気ランキングが高
いそうだ、その統計も信じていいのかどうか、尾道ほど京都と
似てない街もない。平地はほとんどない、海沿いの狭い横長の
土地だけ、日本情緒もちょっと、林芙美子が「岡山と広島の間
に尾道という小さな町があります」と書いている通りである。
広島県は竹原市、三次市が脱退している。賢明だろう。
 
 金沢は北陸の大都市!というと大げさだが、日本的伝統を色
濃くもち、情緒に満ちている、だが武家の要素が非常に強い、
加賀藩である。まあ、京都ほどでないが、その気になれば京都
と真っ向勝負も不可能でもない、もちろんインバウンドの圧倒
的な人気を考えれば京都に軍配だが、金沢は何も京都にあやか
って、などと卑屈なことを考える必要はない。それほど格式が
あり、誇り高いのである。金沢は金沢なのだ。全国ある〇〇銀
座、と同じ発想で「小京都」を売りにする、というは恥と気づ
いたわけだ。だいいち、京都に似た街ではない。年会費5万円
の問題ではない。奈良市だって「小京都」とはいわない、とい
うのか、隣県の奈良県にしたら「小京都」という言葉自体が認
-0め難いだろう

 岡山県は津山市のみ、現在。小京都と言うには似つかわしく
ない。石垣だけ残る城下町、静かな街だが、「小京都」という
には、あまりにも似てない。盆地の平野部、それは似ているが、
。高梁市は以前加盟していたが、脱退した。実は落ち着いたい
い街である。その意味で岡山県でトップのいい街かもしれない
が小京都というのはやはりおかしい。

 私は小京都というならいい線を行っていると思うのが山口市
であると思う。「小京都」というなら県庁所在地くらいの格式
は必要とは思える。鴨川に似た?川が街の中央を走る、美しい
寺院もある、がスケールが違い過ぎる。でも山口市を小京都と
云うなら悪くないと思う。小京都と称しても卑屈感も過剰感も
感じさせないイメージと実態である。

 大内氏の室町文化、山口市内の瑠璃光寺

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 現在の加盟の市町をみるとどれも京都に似ても似つかない。
無論、寺院があって日本の伝統を感じさせる街は多い、だが全
ては独自の個性だ。

 県庁所在地レベルで立派な街、は現在加盟では松江市で、実
際立派ないい街だが、「小京都」まあ山陰線沿線で京都にはつな
がりも深そうだ、だが似ているかと云えば、似てはいない。景観
は全く別物、松江はどこまでも松江だ。小京都会議加盟は政治的
判断だが、松江ならギリギリ許せるだろう。

 鳥取県は倉吉市、土蔵群はいい雰囲気だが、京都に似ても似つ
かない。鳥取市は地震などで壊滅したが、街としては非常に風格
がる。でも小京都で京都にあやかるべき街ではない。

 岡山県で小京都的な市町は、現在加盟の津山市も含め、ないと
思う。全て独自の魅力でいけばいい、小京都会議のご利益などな
いと考えるべきである。

この記事へのコメント

killy
2024年05月13日 20:22
私も山口市以外は思い浮かびません。
山口市は大内氏が治めていた頃に、京都を真似た町づくりをしたという説明がありました。寺院には八坂神社などの名前があります。