映画『孤独の人』1957(日活)Prime Video、藤島泰輔の原作映画化、同じ映画内に2つの映画があるような構成の失敗

現在の上皇にして平成天皇、明仁親王の御学友だった藤島
泰輔による原作の映画化、原作は大きな評判を取った。学習
院高等科における明仁親王をめぐる周囲の状況というのか、
一種の軋轢を描いた原作をいかに映画化するかであった。現在
はAmazonのPrime videoで観ることができる。なお藤島泰輔の
妻はメリー喜多川である。
まず明仁親王、皇太子殿下は正田美智子さんとの結婚までは
実際、八方塞がりだった。戦後の風潮は天皇制に厳しい目を向
けていた。皇族だから学習院、だが内実は問題山積、実は高等
科を出て学習院政経学部進学、これは明仁親王も藤島泰輔もだ
ったが、明仁親王はエリザベス女王戴冠記念式典出席など長期
の欧州旅行で学習院大の出席日数が不足、で留年とすべきとの
学内勢力が強く、留年を拒んで「聴講生」と明仁親王はなって
しまった。遂に学歴は高卒で終わってしまった。まさに八方塞
がりに決定的追い打ちであった、そこで正田美智子さんである。
旧華族などの女性が妃候補で次々だが、ことごとく断られ続け
たからなおさらである。
「孤独の人」も原作はそこまで無論、書いていない、あくま
で学習院高等科での明仁親王をめぐる有り様である。
大評判を取った原作の映画化である。皇太子のクラスである
学習院高等科三年の学生たち、いわゆる御学友の中でオーソド
ックス派とレジスタンス派の対立を中心として話を構成してい
る。
レジスタンス派のせ学生たちが皇太子を銀座に連れだそうと
強硬手段に出るが、これが皇太子殿下を逆に雲上人に押し上げ
る時機を早めるというおとになる、という結末。映画と思えば
一種のキワモノ的な映画だが別に興味本位の手法をとってはい
ないのは救い。
いたって忠誠な御学友の京極、高貴な家柄だ。皇太子のプラ
イベートの写真が週刊誌に載るという事件が起こると、初等科
からの御学友からは罪人を出すまいとして、それ以外のグルー
プの学生に罪をなすりつけようとする男だ。
一方で皇太子殿下がより自由で民主的な中で生きることを願
う学生は岩瀬で「アルト・ハイデルベルヒ」的な皇太子殿下の
お忍びを企画したりした。
いずれにせよ、殿下を思えばこそと、映画では説明されてい
るのだが、どうかな。お妃候補の女子学習院生徒を登場させて
もいる。
で映画で皇太子殿下の役は?映画では「似た人物」を当てて
遠景や後ろ姿で神経質なまでの抑え込んでいるのだが、これで
は映画として売り物にならぬと思ったのか、レジスタンス派の
一人の御学友を太陽族風に刺激的に行動させて描き、これが異
様に目立って「孤独の人」は映画内のもう一つの話?と思わせ
るような失態を結果的に演じている。
妙な欲求不満が残りそうな映画だ。

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