G・ハウプトマン『ローゼ・ベルント 枯葉』角川文庫、原作1903、作者が陪審員として参加した刑事事件をテーマとする
ゲアハルト・ハウプトマン、Gerhart Hauptmann,1862~1946,
現在はポーランド領に生まれたドイツの劇作家、小説家、詩人。
この作品は作者のハウプトマン自身が陪審員として参加してい
た刑事裁判を素材にした悲劇であり、シュレジア地方の豊かな
自然の描写、登場人物の造形、性格描写も際立っているという
評価がある。
これは、いわゆる嬰児殺しをテーマにした自然主義的戯曲の
名作とされている。
女性主人公のローゼ、ローゼ・ベルントは地主のフラムの家
に女中として奉公しているとき、妻が非常に病弱だった主人の
フラムに操を奪われてしまい、それ以後、関係を続けていた。
ローゼは父親のたっての願いの結果のアウグストとの婚礼を間
近に控えていて、主人のフラムに関係を終わらせようと懇願す
るのだが、主人のフラムはローゼに未練があって関係を断つこ
とを認めない。ところがそのことを、女たらしの風評の悪い男、
シュトレックマンが嗅ぎつけてローゼを脅迫、挙げ句にローゼ
を犯す。
この時すでにローゼはフラムの子を宿していたのである。フ
ラムの妻もそれに気づくが、優しく聡明なその妻はローゼをか
ばってくれる。
だがローゼを中心に婚約の男性とシュトレックマントの間に
大喧嘩が始まり、やがて裁判沙汰と成る。ローゼは真実を語る
が、あまりの恥辱、屈辱感に耐えられず偽証を犯してしまい、
ついには発狂し、産み落とした子を殺してしまう。
実際に裁判に参加したハウプトマンのその作品化である。そ
の性格描写も非常の優れているという評価が高い作品である。
何よりも最も自然主義的戯曲らしく、その極北ともされる。ど
こかゾラにも合い通じるものを感じてしまう。それかあらぬか
、ゾラの作品「居酒屋」の主演女優も「ローゼ・ベルント」の
主演女優もマリア・シェルであった。
1919年映画 Rose Bernd

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