緊急事態!メガソーラーが日本の森林、自然、生態系を破壊し尽くす!倒錯した「環境思想」気候変動論が強者の利権と絡まる時。阿蘇外輪山が太陽光パネルで埋まっていた!(長周新聞)

(上、阿蘇外輪山の惨状に驚愕する人々)
このあたり、都会とも云えないがちょっと農家の耕作地、
後継者もいないとなると、すぐせせこましいと思える場所
でもブルドーザーが入り込み、あの景観を害する無粋な太陽
光パネルを設置していく。CO2一元論の地球温暖化・気候変
動論が利権と結びつくとこの狭い日本が醜悪な太陽光パネル
だらけになる。屋根の上でも景観は害する、その程度なら、
まあいいとしてちょっとした休耕田、畑が、こんな基本、
住宅地でさえ業者が目ざとく見つけ、「どうせ後継者はいな
いでしょう、住宅分譲より太陽光パネルを設置」と誘い込む、
しかしこれが素晴らしい自然、貴重極まる日本の森林、また
牧草地などの自然、それらが守る地球の呼吸器たる森林資源
の真髄、日本の自然の生態系を超大規模には介し尽くすメガ
ソーラーの設置が止まらない。「いかなる権威にも屈しない
」という山口県の長周新聞の取材だが、阿蘇山の外輪山が、
あの素晴らしい自然、牧草地が知らぬ間に超大規模なメガソ
ーラーに置き換わっていたという。「CO2を出さない発電」と
いうがCO2を吸収し、酸素を生成し、太陽エネルギーを蓄える
という植物を排除して、何が「環境にいい?」だろうか、その
自然破壊があまりに巨大なのだ、環境アセスは「太陽光パネル
は絶対善」とする環境省の歪んだ考えで森林破壊はやり放題、
やっと一定規模以上は環境アセスが必要となったが、その施行
以前に滑り込みで阿蘇外輪山、に、日本の弱みの農家、畜産農
家、林業の困窮につけ込む巨大資本、中国資本なのだ。徹底し
たドグマ利用と強者の論理である。結果は日本の取り返しのつ
かない自然、生態系破壊だ。この国で今起きている真の緊急事
態である。
長周新聞より
メガソーラーに侵される阿蘇外輪山――ルポ・熊本県山都町を訪ねて 世界文化遺産登録を目指す雄大な草原にパネル20万枚 再エネのあるべき姿とは?

熊本県にそびえる阿蘇山は、約27万年前からの活発な火山活動でできた世界最大級のカルデラと、雄大な外輪山を持つ活火山だ。阿蘇くじゅう国立公園に指定されるとともに、巨大噴火の歴史と生きた火口を体験できる阿蘇ジオパークにも認定され、毎年国内外から多くの観光客が訪れる。そして外輪山に広がる日本最大級の草原は、日本書紀にも記載があることから「千年の草原」と呼ばれ、古代から人々が牛馬とともに野焼きや採草、放牧をおこなって守ってきた。今、熊本県と7市町村(阿蘇市、南小国町、小国町、産山村、高森町、南阿蘇村、西原村)は世界文化遺産への登録をめざしている。ところがその阿蘇外輪山の南側に、福岡ドーム17個分といわれるメガソーラーが突如あらわれて人々を驚かせている。いったいなにが起こっているのか、現地を取材した。
両側からスギなどの木々が迫る狭い道路を、右に左にハンドルを切りながらクネクネと登ること30分。視界が開けると、そこは道の両側に見渡すかぎり太陽光パネルが広がる場所だった。
ここは阿蘇外輪山の南側、熊本県山都町。あらわれたのは「JRE山都高森太陽光発電所」で、昨年9月から稼働し始めた。福岡ペイペイドーム17個分に相当する約119㌶の土地に、太陽光パネル約20万枚(出力約8万㌔㍗)が、まるで無造作に置かれたように平地や斜面を覆い尽くしている。
遠くを眺めれば、真っ青な空に緑が映える、夏の阿蘇山の中岳や根子岳。その雄大な自然とはあまりにミスマッチな、黒々と光る大量の太陽光パネル。再エネは「地球に優しい」といいながら、長年月にわたって守られてきた大自然にこんなことをしていいのかと、企業の傲慢さに憤りを感じないわけにはいかなかった。横では案内してくれた地元の住民が、「ここに来ると吐き気がする」とひと言。
太陽光パネルが置かれた場所は、外輪山の尾根部分に当たり、かつては牛を放牧する牧草地だった。10年ほど前までは野焼きもやっていたという。
「2005年の合併前の蘇陽町時代、このあたりの農家は1軒に1頭は牛を飼い、牛糞堆肥を肥料にしたり、機械がわりに役牛として使ったり、子牛を売ったりして生計を立てていた。ここは見渡す限りの牧草地で、そこに1年中放牧し、ほぼ野生のような形で育て、お産になると畜舎に連れて帰っていた。しかし牛では生計が成り立たなくなり、手放してしまった」
同時にここは、町民に命の水をもたらす神働川の水源地で、町民はここから出る豊かな湧き水をためて牛に飲ませたり、野菜を洗ったりしてきた。ところがメガソーラーができると雨が降っても土地に浸透せず、パネルの表面を流れ下って問題になっているという。
地上から見るだけではメガソーラーの規模がわかりにくいので、ドローンを飛ばして撮影してみた【写真参照】。地上200㍍で撮影しても1枚の写真に収まりきらない。その異常な巨大さがわかる。

ところがこれだけ巨大なメガソーラーだが、山都町の町民はほとんどが知らないという。通常ここまで登ってくる人はまれで、「友人を連れてくるとびっくりしていた」そうだ。
表土はぎ取り泥水流入 業者は因果関係否定
熊本県上益城郡山都町は、北は阿蘇外輪山の南側、南は九州山地に接する山に囲まれた町だ。人口は約1万2000人で、農林業で成り立っている。標高300~1700㍍の高地に位置しており、低地の神働川沿いには田んぼが続き、青々とした稲が整然と並んでいた。
この町にメガソーラーの建設計画が持ち上がったのは、2017年頃だという。事業者は、最初は「まりも」、土地を転売して次は「ユニ・ロット」、そして「JRE」(ジャパン・リニューアブル・エナジー、本社・東京)とコロコロとかわっていることにも、住民たちは不信感を募らせる。JREはもともとは米ゴールドマン・サックスの再エネ子会社で、昨年1月にエネオスが全株取得し、子会社化している。
2018年2月には、神働川の源流からの流れが一番最初に来る集落・目細(めぼそ)地区に、事業者が高森町の牧野組合を連れて説明にやってきた。建設予定地の牧草地は山都町にあるが、その所有権(入会権)は隣の高森町の牧野組合が持っていた。

目細地区の男性はいう。「うちの集落には14軒が暮らしているが、みんなが反対した。というのも50年前、国の補助金事業で原野を草地改良するためブルドーザーで山を削ったところ、大雨が降ったとき田んぼに泥水が流れ込む大災害になった経験をしていたからだ。だから、また同じことにならないようにとみんなが反対した。反対したのに、その後事業者はわしらになにもいわないまま工事を始めた」
目細地区のもう一人の男性は、開口一番「説明会はまるで脅しのようだった」といった。「“火事になっても知らんぞ”“養豚場をつくるぞ”といったり、“ここの部落が反対してもつくる”といった
2019年12月に起工式があり、工事が始まった。現場を見に行った住民は「私たちは太陽光発電と聞いて、牧野の草を刈ってそこに建てるのだと思っていた。ところが広大な牧野の表土がすべてはぎとられ、木は伐採、伐根されて、泥がむき出しになっていた」という。「説明会で事業者が“除草剤を撒く”と話したので、“除草剤を大量に撒くのはだめ”といったのよ」とも。
そして2020年6月、梅雨時の天気のいい日に、どぶどぶに濁った泥水がいきなり田んぼに入ってきて稲をなぎ倒したので、目細地区の農家はびっくりした。水は白茶色で、「軟弱な地盤を固めるために大量に石灰を撒いたんじゃないか」と語られていた。
農家の人たちが上流を見に行くと、工事業者がいて、「あんたらか?」と聞いたが、「一切流していない」という。町役場にも訴えたが、逆に事業者が役場にやって来て「泥水がうちの工事から出ているという根拠がどこにあるのか」という。そこで農家が川をさかのぼって登っていき、工事業者がホースで泥水を流していた場所をつきとめ、写真に撮って突きつけた。それでもなにも変わらなかった。
住民たちは口々にこうのべた。
「そのときは田植えをしたばっかりだった。それで自分たちでスコップを持ち、入ってきた泥や砂利をどけたんだ」
「阿蘇の土は黒土で、表土が削られると赤土になる。事業者は“工事現場は赤土だから関係ない”というが、そもそも黒土でなければ草ははえない」
「神働川はきれいな川で、ヤマメやアブラメがたくさんいたが、工事をして以来いなくなった」
「合併前の蘇陽町だった頃、このあたりはホタルが何千匹と舞っていて、よその地域から人が見に来るほどだったんだ。それが今はほとんどいなくなった」
この泥水被害について、いまだに事業者はなんの補償もしていない。住民たちは町長や町役場に何度も訴えたが、業者と結託した町も町民を守ろうとしない。今後、もっと大きな災害が起こったときはどうなるのか。
アセスも説明会もなく 住民頭越しの協定
山都町の農業委員にも話を聞くことができた。牧草地の売却には次のような経緯があったそうだ。
メガソーラー建設予定地の牧草地は、もともと隣接する高森町の牧野組合の25人が共同所有し、牛を放牧していた。その25人が印鑑を押して、牧草地130㌶を事業者に売却した。しかし、山都町の農業委員会としては「ここは国の草地改良事業をおこなった牧草地であり、第一種農地(優良な営農条件を備えている農地)であるから、農地転用は認めない」と決めた。
ところが事業者は、牧野組合を連れてきて、農業委員会立ち会いのもとでの現地視察を求めた。現地は放牧をしなくなってから3年経っており、荒れていた。それを見て事業者が「なにが農地か。原野じゃないか」といい始めた。また、事業者は国からいくら補助金が出ているのかもしつこく聞いてきたという(後日、本紙が専門家に聞くと、国の補助事業は原則として目的外転用を禁じているが、農水省が「目的外転用の場合、補助金の返還が必要」という指針を出していた)。
その農業委員は、「県にも国にも問い合わせたが、どう対応していいかわからない。ついに農業委員会として、130㌶のうち1割程度を農地とし、あとは非農地とした。非農地にしたのが間違いだった。これが向こうの狙いだったんだ」と、悔やみながら何度も強調した。
一方、山都町長も議会の議決を経ないまま事業者と協定を結び、開発許可を出していた。町議が協定書を見せてくれと要求したが、「協定書のなかに、第三者に見せてはならないという条文があるので見せられない」と拒否されたという。町の執行部が「災害が起きたとき賠償してもらえないから」と協定書締結を急がせたというが、前述したように災害補償はないままだ。
ところで、メガソーラーをつくるのに環境アセスはなかったのか? 聞くと、これまで太陽光発電の建設にアセスは必要なく、ようやく環境省が4万㌔㍗以上の太陽光発電をアセスの対象にしたのは昨年春のことだった。JREはその前に駆け込みでやったわけだ。アセスそのものは事業者自身がやるもので建設の歯止めになるものではないが、それすらないから、住民説明会も自治体の審議会も開催されない。町民が知らないはずである。こうして地元同意のないまま、メガソーラーの建設が進んだ。
農家の苦境につけ込み 牧草地を買い占め
牧草地に放牧されている「あか牛」(熊本県上益城郡山都町)
それにしても、長年阿蘇外輪山で放牧をおこなってきた隣の高森町の牧野組合は、放牧や牧草地に愛着がないはずがないのに、なぜ土地を売り払ってしまったのだろうか?
そう思いつつ車窓から外を眺めると、大きな体のあか牛(褐毛和種)6頭が、草原に寝そべったり、一心不乱に草を食んだりしているのが見えた。放牧に適し、性格がおとなしいあか牛は、熊本県内では阿蘇地方で多く飼われている。
山都町や高森町を走ると、レストランや食事処が「あか牛」の看板を掲げているのをあちこちで見かけた。
阿蘇外輪山には現在、約460戸の農家が参加する156の牧野組合があり、合計して約6000頭の牛を放牧している。春を呼ぶといわれる阿蘇の野焼きは、毎年2月から3月の早春の頃におこなわれる。前の年の枯れ草を焼き、新しい草の芽立ちを助けるのだそうだ。そして、初夏の新緑や夏の青々とした大草原の下、牛や馬がのんびりと草を食む姿は、阿蘇を訪れる人を魅了してきた。
しかしこの牧野組合も、年々高齢化が進み、後継者がいない状態で、メンバーも徐々に減っており、「10年後には今の野焼きも続けられない」という人も少なくない。最近では「阿蘇グリーンストック」が、市民ボランティアを募って野焼きをやっている。
牛の繁殖農家に話を聞くことができた。その農家は、あか牛を5頭、黒毛和牛を29頭飼っており、子牛が28頭いる。子牛は9~10カ月育てた後、肥育農家に売りに出す。月に4頭売りに出すこともあれば、まったくない月もある。
「昨年から今年にかけて、牛の値段が暴落した。30年前の水準だという。全国の和牛子牛の平均価格が1頭当り60万円を割り込んだと新聞に出ていたが、実際のセリでは20万~30万円という場合もある。コロナ禍と諸物価高騰の影響で牛肉が売れないからだろう」
「一方で、輸入配合飼料は500㌔が5万円とうなぎ登りに高くなっている。うちでは配合飼料は月30万円かかるが、牛に食わせないわけにはいかない。ウクライナ戦争と円安の影響で輸入飼料が高騰している。それに設備投資のローンもある。売る物が安く、買う物が高いのだから、成り立たないのは小学生でもわかる。福島の汚染水海洋放出で中国が水産物の輸入をストップさせたが、今後は農産物にも影響が出るだろう。今の状態が2年続けば、廃業する畜産農家がたくさん出るのではないか」
その農家は、高森町の牧野組合についても、「高齢化してメンバーが減り、最近では野焼きもしなくなって、牧草地は荒れ放題になっていた。最後は牛も数頭になっていた。それで土地を売ることになったのだろう」と話した。
今、山都町の「JRE山都高森太陽光発電所」に隣接して、高森町の「JRE阿蘇高森太陽光発電所」(出力6万2000㌔㍗)が稼働を開始し、この二つで九州最大級の14万3000㌔㍗となったが、さらに第三のメガソーラー計画が動き始めていることが町内で話題になっていた。山都町矢部の「アグリヒルズ・ソーラー山都発電事業」がそれで、国営農地造成事業で完工整備された普通畑のうち、後継者不足で営農困難になった約116㌶に、太陽光パネル23万枚を敷き詰め、出力11万㌔㍗のメガソーラーをつくるものだ。
「山都町が狙われている」と、ある住民はいった。第一次産業が困難な状況につけ込んで、再エネ事業者が土地を買い占め、メガソーラーや大規模風力発電を次々につくっている。
業者免責の地上権設定 撤去費用は地元転嫁か
JRE山都高森太陽光発電所の土地登記を現地で見て、驚いた。26年間の地上権設定契約となっていたからだ。契約書そのものを見ることはできなかったが、次のことがいえる。
地上権設定期間が26年だと、地権者はその間、契約を解除することはできない。一方、事業者はこの期間、事業の採算がとれなくなったら、他の事業者に転売することも、事業ごと譲渡することも、一方的に撤退することも可能で、これに地権者が口を出すことはできない。
そして、多くの場合、地上権設定契約書の中に「倒産隔離」条項が入っている。それによって、たとえば台風がきて太陽光パネルが壊れ、修繕費用がかさんで事業の採算がとれなくなった場合、事業者は勝手に撤退でき、撤去費用は地権者や地元自治体に押しつけることができる。
ある地域の契約書には、「地権者が事業者に請求できるのは、事業者が持つ“責任財産”の範囲内であり、その他の財産には一切手をつけられない」「地権者は“責任財産”以外の財産に対して差し押さえ、その他の強制執行手続きの申し立てをおこなう権利をあらかじめ放棄する」などと書かれていた。
再エネをつくる場合、多くの事業者は合同会社を立ち上げる。山都高森太陽光発電所の場合、JREとSMFLみらいパートナーズ(本社・東京、三井住友ファイナンス&リースの戦略子会社)が共同投資契約を結び、合同会社JRE山都高森をつくっている。通常、各企業はこの合同会社に資本金100万円程度の少額を入れ、そこに銀行からの融資などを呼び込む仕組みをつくっている。
そして、台風などでメガソーラーが稼働できなくなり、事業者が事業から撤退するとき、地上権設定契約で「倒産隔離」条項が入っていれば、事業者は「責任財産」(この場合は合同会社に出資した100万円)だけを負債にあてると、それ以上の財産を失うことなく計画倒産することができる。そして壊れたメガソーラーはそのまま山の上に残される。壊れた太陽光パネルからは、鉛やカドミウムなどの有毒物質が流出する危険性があるにもかかわらず。
阿蘇外輪山のメガソーラーだと、撤去費用は数億~数十億円はかかるのではないか。地上権設定契約では、この費用を地権者が負うことになり、それは事実上不可能なので、町や県が税金で負担しなければならなくなる。全国の風力や太陽光の用地取得は、多くがこのやり方でやられている。
経産省は昨年7月、太陽光発電の廃棄費用の積み立てを義務化した。しかし、経産省のFIT制度事業計画認定情報を見ると、JRE山都高森の「廃棄費用積立状況」は「報告が提出されていない」になっていた。
事業者は国のFIT制度にもとづいて九電に売電し、1㌔㍗時当り36円という高い買取価格を20年間保証されるので、莫大なもうけが懐に入る。原資は各家庭の電気料金の中に忍ばせてある再エネ賦課金だ。そのうえ地上権設定契約をはさむことによって、リスクはすべて住民に転嫁することができるわけだ。
一方、町に入るメガソーラーの固定資産税は、年間1億円とも1億5000万円ともいわれる。収入源の乏しい町の窮状につけこむ手口だが、実際には将来にわたって何倍もの負担がおしつけられることになる。
再生不可能な環境破壊 火力なしでは不成立の現実
全国各地は真夏日の真っ最中だというのに、阿蘇のゲストハウスの夜は寒いくらいだった。毛布が必要な人もいるという。森林や田んぼの緑に囲まれた、自然の豊かさを実感した。
高森町の湧水トンネルにも行ってみた。ここは旧国鉄のトンネル工事が度重なる出水事故で中止となったところで、トンネルの出口付近が公園となり、足下を湧き水が流れて、トンネル内は冷蔵庫の中のようにひんやりとしている。この水源地の湧き水は、飲用水や農業用水に使われているという。阿蘇地域は、阿蘇山の恵み豊かな天然水が湧き出す水源の宝庫なのだ。
太陽光発電所の付近にある「水源林造成事業」の看板
「CO2削減」「地球に優しい」といいながら、この阿蘇の豊かな山々を破壊し、水源地を潰して巨大なメガソーラーをつくるのだから、まさに本末転倒である。しかも風力や太陽光は自然に左右される不安定な電源なので、火力発電のバックアップがなければ成り立たず、九電管内は太陽光発電をつくりすぎたために、何度も出力制御をやって太陽光で発電した電気を捨てている。
日本が本来の独立国なら、政府は国民の食を守るために食料自給率の向上に努めるはずが、アメリカのいいなりになって農産物の輸入を増やし、農林水産業を存亡の危機に追いやっている。そこにつけ込んで、経産省お墨付きの再エネ企業が地方をターゲットに乗り込み、金もうけのためにやりたい放題をやっている。生活が脅かされるのは地方に住む人々であり、このままでは子や孫の世代に安心して暮らせる故郷を残せない。
阿蘇外輪山のメガソーラーを見ながら、住民の一人が熱海の土石流災害のことを話し出した。「犠牲者が出ないと住民の声は通らない。でも、そうなったときは手遅れだ」。
地表を埋め尽くすJRE山都高森太陽光発電所のメガソーラー(熊本県上益城郡山都町)
さらに秋保町、宮城県仙台市でも

<経緯>
2024年3月10日(日)に、並木集会所、野中集会所、加沢集会所にて、「秋保町長袋事業概要説明会」と称して、当該事業者が実施する太陽光パネル工場建設の事業概要について、地権者に対しての説明会が、CES合同会社主催の下、開催されました。
説明会での資料によると、以下の計画で検討が進んでいることが分かりました。
・2024年6月~2025年5月 環境影響評価
・2025年9月~2027年2月 林地開発許可申請
・2026年12月~2027年4月 その他開発許認可
・2027年5月~2030年12月 工場本体工事
・2031年1月~2031年3月 運営に係る最終確認
・2031年4月~ 操業開始
予定場所は、国道457号線を挟んで、長袋地区、及び上愛子地区に掛かり、該当地権者は169筆となっております。
この説明会を受けて、並木町内会においては5月上旬に話し合いが持たれましたが、該当する地権者の中でも売却をしたい方、しない方と意見が分かれており、売却をしない方からは土砂の流失により発生する水質汚濁による米作を始めとする農業への影響を懸念しています。実際に加沢地区における農家では、取水の際、特に雨後の取水においては泥水が発生する等の問題に苛まれており、「清流育ち秋保米」の品質への影響を懸念する声が大きくなっています。
本事業予定地に隣接している秋保温泉郷は、釈迦に説法かとは思いますが、東北随一の観光名所であり、旅行サイトじゃらんのランキングにおいても1位を獲得している非常に有名な温泉郷であり、東北で唯一のグローバルMICE都市としてG7が開催されており、2016年度の麻生大臣(当時)からも非常に好評を頂き、2023年度の2回目の開催へと繋がっており、現科学技術大臣でもある高市大臣からも、ユネスコ無形文化遺産である「秋保の田植え踊り」の披露を通じて、東北の素晴らしさと、仙台市が持つグローバルMICEの可能性に高い評価を頂いており、東北・全国のみならず、世界都市としての価値が確立されつつあります。
また、同温泉郷の各旅館施設においては上述の秋保米も使用されており、農業と観光が密接な関係を持って経済が回っております。
そうした中、本年4月15日に西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所で発生した火災は、鎮火作業に困難を極め、発生から22時間を要したニュースを受け、周辺地域住民は、住民感情として、さらに大きな不安を抱えております。
<動向>
現在、当団体では秋保地区内の農家、事業者を始め、地域住民の意見等を集約しております。
途中経過ではありますが、その意見の中で大半の方が秋保温泉郷や定義山からの「景観への影響」を心配しており、観光客の減少、それに伴う地域の衰退を懸念しております。建設予定地の下流域に当たる秋保地区のブルワリーやワイナリー、上流域に当たる作並地区のニッカウィスキーのブランドイメージ低下等を心配する声も上がっています。ビール・ワイン・ウィスキー共に重要となるのは「水」であり、「自然と共に時間をかけて醸し出される」ブランドのイメージが、工業地帯の中で生産されるものへと変わり、長年に渡って積み上げられたそれぞれのブランドイメージが壊されることへの危惧から、こうした意見が多く出ていると推察されます。
また、秋保中学校からの景観悪化も懸念されることから、地域の子どもたちの教育と成長への影響を心配する声も上がっております。
そうした中、説明会の資料を拝見すると、「千葉県庁」と明記されている部分もあり、資料そのものの正確性、要領を得た内容になっておらず、問い合わせ先へ電話をかけてみても繋がらないと言った事態があり、計画の詳細を知り得ることが出来ません。また、他地区での関連事業を見ても実態が分かり難い事業者であることの報道がなされております。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/248793
一方で、私たちは東日本大震災の経験により、自然に対しての感謝と畏怖の念を抱く事を、改めて思い起こされました。再生可能エネルギーの推進は必要でありますが、大規模自然破壊をしてまで行うことはSDGsの観点からも望まれることではありません。
こうした問題は、当地域のみならず全国で起きており、私たちの美しい日本の国土が失われることに繋がっていきます。国においても本来の再生可能エネルギーの在り方について議論がなされており、経済産業省・資源エネルギー庁では「電力の地産地消」を推奨しています。
東日本大震災では集中型エネルギーシステムの脆弱性というのも浮き彫りとなりました。この反省から、比較的小規模で、さまざまな地域に発電施設が分散する「分散型エネルギー社会の実現」を国としても推奨しています。集会所やコミュニティセンターへ太陽光パネルを設置することで、防災的な観点からも分散型エネルギーは大きなメリットがあります。
地域のエネルギーの在り方について、経済と環境、観光と農業への影響を出さず、地域住民が納得する形となる事を願っています。
<私たちの要望>
秋保地区は里山と共に歴史と文化を育んで来ており、県立自然公園である二口峡谷や、仙台市の指定文化財である磐司岩、その麓に広がる田畑と農村、そして「仙台の奥座敷」と言われる秋保温泉郷はその結果として存在しております。
北側の作並地区もまた、国指定登録有形文化財である定義山を始め、作並温泉、そして国の伝統産業でもある作並こけしがあり、秋保同様、里山から育まれた歴史と文化が存在しています。
また、そうした地に魅せられ日本国内にただ2つしかないニッカウィスキーの蒸留所のひとつが、ここ作並にあります。美しい自然環境と清流が醸すウィスキーは世界中のファンを魅了していることは周知のことと思います。
この両地区は上述から言えるように日本の里山文化、原風景の魅力に見せられ、東北はもちろん、全国、ひいては世界中からも注目される地へと成長を遂げてきました。これは少子高齢化に伴う里山や田畑の荒廃が全国様々な地で問題として浮き彫りとなっている時代において、非常に稀有であり、貴重な存在として、ひときわ魅力を放つ地となっています。
そうした地に広大な工場が建設されることは、これまで育んできた里山文化に影響を及ぼさないとは言い切れず、地域住民や農家、観光事業者を始め、本事業が実施された場合には、訪れる世界中の観光客も含め、不安と注目の渦になる事を私たちは懸念しております。
宮城県で令和4年度に発令された「太陽光発電施設の設置等に関する条例」は、まさしくそうした里山文化を守り、先人が築き上げた歴史と文化への敬意が県民及び県の意思として、こうした形として条例化されたのではないでしょうか?そして、これに呼応するように仙台市においても「仙台市太陽光発電事業の健全かつ適正な導入、運用等の促進に関する条例」も発布されております。
もちろん、現実に目を向ければ、山を売らない人もいれば、手放したいと思っている人もいます。少子高齢化の社会へと変化している今、地方の山林所有者は管理や運用に苦悩しています。だからこそ、私たち市民一人ひとりも、自分ごとの問題として捉え、具体的に解決していかなければならないと考えております。このままでは山は荒れ、仮に開発が白紙となったとしても土砂災害や獣害が無くなることはありません。
事業の諸手続きや許認可等に当たっては、これまで述べさせて頂いた経緯と歴史・文化等を総合的に勘案し、慎重に慎重を重ねた議論と、地域住民・各事業者・秋保と作並に訪れる観光客全てが納得し、里山を再生していくような建設計画となる事を要望いたします。
そして、仙台市に置かれましては、それら背景も踏まえ、関係法律及び条令に従うこと、客観性・合理性にかける判断をして、このままの計画で建設を認めることが無いよう、総合的なメリットを鑑みた妥当な判断をいただくよう、ここに強く要望いたします。
仮に本件が頓挫したとしても、私たちは本件をきっかけに守るべき豊かな自然と里山文化、そして経済性を両立させた新しい「地域循環共生圏」を作っていきたいと考えております。
私たち自身で里山を買上げ、デザインし、自然と共生したプレーパークを作りたいと考えています。そうすることで、子どもたちを始め、これからの未来を創造する世代と共にこれからの里山文化を共に学び、振興を図る事で、日本はもちろん世界に発信出来る地域循環共生圏のモデルケースとなる秋保・作並を目指していきたいと思っております。
その目的達成の為に必要な労力は当団体も惜しみなく捧げて行きたいとここに決意します。
以上、
秋保作並里山の未来を考える会 Powered by Adobe Portfol
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