マンションは必ずスラム化する、実は日本社会最大の問題!、超々高齢化社会とその一方のマンション新築ラッシュ

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 私の住んでいるような地方の町でもマンション建設はやたら
盛んだ。新幹線駅もあり、基本、こだまのみ停車でも岡山駅に
「こだま」でわずか10分という好条件があるためだろうか。駅
前のマンションに住めば岡山駅近くに住んでいる、新幹線の利
便せいで云うならその通りで、これでマンション新宿が結構、
盛んな理由だろうか。正直、地方都市で強いてマンション購入
は適切な判断ともいい難い。だがマンションラッシュは大都会
では異次元にすさまじい。

 しかし和式英語の極致、集合住宅の部屋を「マンション」と
呼び慣わす思考形態が、「マンション」への甘い認識をおおい
に助長していると思われる。

 マンションと言うが要は集合住宅である。その集合住宅の一
部屋というのか、ワン居住ユニットを大金をはたいて購入という
判断が果たして妥当なのか、もちろん東京23区内、大都会のよう
に戸建て住宅を新築が難しい、というなら仕方がないのだが・

 まず日本が超々高齢化の一途であり、末永く安定した居住者が
確保できない、という根本的な社会的要因がある。戸建てなら老
朽化しようと解体し、更地にすればいいし、戸建てくらいなら、
リフォームすればいい、建替えもできる。だかマンションは居住
者が徐々に消えていき、部屋ごとに賃貸のアパート化する。する
と居住者の質的な問題が生じ、居住環境が全体として悪化する。

 マンションは必ずトータルで劣化する、だから修繕積立金が義務
づけられる。集合住宅故に管理費がかかる。もちろん所有権があれ
ば固定資産税などがかかる。超々高齢化はいずれ空き部屋の続出、
それらが賃貸アパートとなる、どんな人間が入ってくるやら、わか
らない。修繕費用の積立金の滞納が生じる。そもそも水道管の更新
など解体的な大規模修理が必要となる。何十年も新築から経過し、
管理組合でまともな合意形成が可能なのか、修繕積立金で基本的な
装備の更新という多額な費用がかかる事案をまかなえるのか、な
により正常な居住者の状態が維持されていないと砂上の楼閣である。
だが新築マンションラッシュはエスカレート、膨大な中古マンショ
ンの在庫は増加の一途、賃貸にどんどん転用は避けられない、管理
組合も機能しなくなる。区分所有のマンションのスラム化はまた必
然と云わねばならない。

 純粋に建築物の鉄筋コンクリート日本建築学会や行政のだした数
字があるが、真に問題は社会的な寿命である。単に鉄筋構造だけが
維持できればいい、というものではない。内装、水回り、ガス管、
電気系統、などは鉄筋の寿命以前に劣化が生じる。それらの修繕費
用がどんどん、かかってくれば居住環境の悪化、居住者の死亡や、
介護施設などへの転居、などで賃貸化する部屋が増加し、さらに
居住環境が悪化する。

 マンションの解体費用は莫大であり、資産価値の大きく低下した
状態の居住者の質が低下したマンションではとうてい解体費用など
ひねり出すのは不可能に近いケースが多い。解体積立金も義務化す
べきという陳情もある。だが老朽化、劣化したマンションは居住者
自体が劣化しており、その社会的要因こそが根本にあるわけである。

 マンション1棟全体を一人が所有なら問題はないが、根本は区分
所有であり、所有と居住のつながりも徐々に劣化し、形骸化する。
統一した意志をそもそも発動できなくなる。マンションの修繕費用
、特にタワーマンションなどは建築した会社しか行えず、費用はか
さむ。

 老朽化したマンションは経費はますますかかり、逃げ出そうとする
所有権のある居住者、さらに賃貸もかなわず空き室が増えていく。つ
まりマンションのスラム化である。超々高齢化社会を考えただけでも、
相続する子供もない。老朽化したマンションは金食い虫というだけで、
誰も相続しない、そもそも子供もいないというケースもある。また
機械式駐車場があれば修繕費用、維持管理費用はさらに増加する。

 とにかく新築ラッシュで「老朽化したマンション」など忘れましょ
う、という風潮だが、どう考えても日本社会、経済最大の問題としか
思えないのである。タワーマンションと云えども集合住宅、区分所有
である以上、事情は何も変わらない。湾岸なら塩害もはなはだしく
劣化は確実に進む。修繕費用は高く、解体再建は多くの要因で不可能
というべきだ。あるタイミングで逃げ出すことを考えないと、とんで
もない事態に陥ってしまう。

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