福山市が広島県であり続けると失うものが多すぎる。安芸のおこぼれ狙いの卑屈な辺境意識


 最後の県境設定で備後の東端の福山市は「広島県」に編入
された。それまでは小田県、深津県で東の備中の大半と一体
化した県境だった。全く気風も異なり、西に偏した広島市、
備後と安芸という異質な組み合わせ、何よりも福山市と広島
市は遠すぎるのである。

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 東西に長い、というなら静岡県、遠州と駿河、西の浜松と
静岡はかなり離れているが、距離は中心部で云えば、84km、
福山駅、広島駅を基準とすれば距離は105km、浜松、静岡の
距離より20kmも遠いのだ。逆に福山駅から岡山駅は60kmて
いど、福山市が県庁を広島とする「広島県」に帰属させられ
てからの歴史は日陰者的存在であり、、広島市民からは余所
者的な「東部」と半ば蔑称、軽視されつづけた。県の主要な
施設は福山に無縁であり続けた。また浜松と静岡なら多少の
気風の違いでまた東海道沿いで交通至便だが、距離が浜松、
静岡間より20kmも遠く、途中の地形はまさしく山の国、広
島で国道2号、山陽道を走れば山の険しさを思い知る。地形
でも福山の備後と広島市は遮断されている状態に近い。

 とにかく安芸と備後を「広島県」に、という設定が非常に
不適切なものであり、その弊害は永久につづくだろう。

 「新広島空港」も「県民全体が使いやすい」というコンセ
プトゆえに今は三原市編入の「本郷町」に建設された。まさ
に山岳空港で、その煽りは広島市民を直撃しつづけており、
事実上、「東京アクセス」を失って東京でも新幹線に依存と
いうことになった。距離も遠いが地形が悪すぎるのである。
鉄道もない新広島空港である。

 福山市は広島県政で、つねに後回し、県立大学も設置され
ず、高等教育で苦渋を舐め続けた。ほそぼそと存在した広島
大学の教育学部(旧高等師範系)の音楽、体育専攻、また新設だ
った水畜産も東広島統合で福山から消え去った。

 では県境を仮に変更となるとどうなるか、世界最大?の製鉄
所とされるJFE西日本製鉄所は福山地区、倉敷地区があり、倉敷
都市圏と一体化できる県境ならいいが、ではさらに東の岡山市
も混じえ、三都物語の、さて、何県と称すべきか。

 長年の広島県!帰属で福山市はカープファンは多いが、広島
側の福山へのよそ者視線、「後進」地としての蔑視は全く払拭
されていない。今後も一体感は形成されず、奇妙な違和感を持
った状態は永久化するだろう。

 福山市の都市再開発の遅れも広島県の軽視ゆえである。だが
ながい日陰者,忍従のスタンスゆえ、福山に歪んだ劣等感も定着
しているのは否定できないし、「広島都市圏」安芸の「おこぼ
れ」をもらって満足、という低次元思考が福山に染み付いたの
は否めない。自らを主人公としての活気ある発展はいまもって
都市形成の点で見られない。悲劇の県境だろう。

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