『秋田美人の謎』新野直吉(白水社)秋田美人の代表は戦前作家の矢田津世子?碩学が語る秋田美人


 新野直吉、1925~2024,今年1月17日に死去で98歳、山形県
出身、神宮皇學館専門部在学中に応召、戦後、東北大文学部史学
科、秋田大教育学部長、、東北史学会会長、秋田大学長などを経
て定年退官、「秋田美人」への研究著作でも知られている、は、
この本のためである。

 たしかに秋田美人とは云うが、に西日本の人間には本当かどう
か、ピンと来ない部分はある。

 秋田の経済の豊かさはその米作の豊かさとイコールだった。
江戸時代後期の天保の大飢饉、東北で特に悲惨な状態だったのだ
が、秋田では農民は三味線や太鼓で踊りを楽しんでいた、という
記録があるという。米作の安定は全国でも飛び抜けていた、とあ
る。その余裕が酒を飲み、民謡を歌うというおおらかな気風を生
じさせ、それが美貌にもつながった、というらしい。

 美人というと、すぐトップクラスのモデル嬢とか女優などを思
浮かべるが、10段階にわけたらそれらは上位1か2,秋田美人は
そこまでの美貌ではなく、2.5から3あたりだとある。で、そのレ
ベルの美人は秋田にはうようよ溢れているという。不美人がいて
5レベル、他所から来たら美人かもと思われるレベルだそうだ。

 では秋田美人とはその美人のタイプは?だが、瓜実顔、すがす
はしい目、濃い眉、鼻筋が通っていて口が小さめ、透き通るよう
な白い肌とある。で秋田美人の代表はと云うと、戦前の作家、
「矢田世津子」だという。肺を患って38歳で亡くなったが、当時
は文壇で一番の美人ともてはやされたそうだ。

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 秋田美人、という言葉は花柳界から生まれたらしい。その出所
はさておいて、要は秋田美人は自然に恵まれて健康な生活をして
いるとある。農村の女性であり、健康的だそうだ。深窓の令嬢タ
イプではあり得ない。

 だが生活が豊かで秋田の女性は消費型、節約ん気風がない、だ
から結婚なら徹底した倹約を旨とする山形の女性がいい、と締めく
くる。

 でも「住みたい都道府県」で秋田県はブービーである。そんな
に自然に恵まれているのか、と正直、疑問に感じる。やはり日射
は相対的に少なく、それで色白、寒さで締まった顔貌、というに
しても秋田美人って?という思いは拭えない。

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