イスラエルに全く愛情、親しみを持ち得ない日本人。日本赤軍から長崎市長、ネトウヨに至る反イスラエル感情

 WAILING_WALL_IN_JERUSALEM.jpg
 実は全く分かりきったことだが、イスラエルへ日本人が全く
親愛の情を持っていないことが改めて露呈した「長崎平和祈念
式典」イスラエル不招致騒動であった。日頃は親米右翼で鳴る、
ネトウヨ連中がSNSでいっせいに長崎市長への擁護を行ったの
も、いたって予想通りだった。日本の右翼は親米を旨とするが、
他方で欧米、アメリカがその代表格だが、がイスラエルに持つ
特別な感情、畏敬は日本人には、一部を除き、微塵もない、そ
れどころか逆にイスラエルへの憎しみはパレスチナ並とも云わ
ないが潜在的にはそれに近いものがある。これは右翼、左翼を
問わない。古くは「日本赤軍」などがイスラエル攻撃、テルア
ビブ空港での乱射事件、など日本人のイスラエル憎悪の感情は
政治的心情を超えたものがある。

 日本赤軍、テルアビブ空港で銃乱射、多数の犠牲者

 6ab3e48d.jpg

 逆に欧米諸国は長いユダヤ民族との共存の歴史がある。さまよ
えるユダヤ人、などその独自の感情はアジア人には容易に理解で
きるものではない。ともかく欧米人はキリスト教徒である、その
意味でイスラエルはどこまでも特別な存在である。その支持、は
自らのアイデンティティーに直結するものだ。

 日本人のイスラエルへの感情、端的に言うなら親愛の情の全く
の希薄さ、むしろ反発の潜在的感情は、何かあると一斉にイスラ
える憎悪、非難となる。ハマスのミサイル攻撃に始まるこのたび
の紛争も、国内メディアは圧倒的にガザのパレスチナ人擁護ばか
り、一辺倒だ。欧米でもイスラエルのガザ侵攻に非難のデモ、
と頻繁に伝えられ、イスラエル憎悪の日本人の感情は増幅するの
、みである。とにかく日本人はイスラエルの事情に全く同情せず、
やたらガザにだけ同情する。メディアもそのラインに乗っている。
日本人にとってイスラエルはどこまでも違和感に満ちた他人であ
る。

 欧米は全てキリスト教国である。アジアでもキリスト教国はあ
るし、キリスト教徒の比率は高い国が多い。その真逆が日本であ
る、とにかく心情的には異常なまでに親米、親欧米なのだが、精
神的分野では宗教は、キリスト教徒は1%を切るくらいいとされる。
このキリスト教の極端な少なさは日本の大きな文化的、精神的な
特色である。とにかくキリスト教は「虫が好かない」のである。
キリスト教の教義は児戯のようにしか思えない、荒唐無稽にしか
思えない、一神教といいながら「神の子」を崇めるのも釈然とし
ない、十字架は気持ち悪い、・・・・・それらのキリスト教への
反感に近い思いが日本人を反イスラエル闘争に参加させたり、今
もロシアとイスラエルと同一視、という欧米の批判を受けること
になる。

 日本人は政治的心情にかかわらずキリスト教嫌いである。左右
に共通だ。むしろ右翼に反キリスト教感情が強い。だからハマス
のミサイル攻撃への自衛、侵攻を罪悪視する。その一つの現われ
が長崎市長である。欧米の怒りは凄まじいが根底に反キリスト感
情に基づく反イスラエル感情がある。

 反イスラエル感情というが、ユダヤ民族の長い歴史、欧米人が
身にしみてまで教えられているユダヤ民族受難の歴史など日本人
は全くそもそも知らない、学ぶこともほぼない。キリスト教への
憎しみ、ユダヤ民族についての全くの無知が、日本赤軍以来、
すぐに、わかりやすいパレスチナの状況への同情になり、そ
れが長崎市長やXでのネトウヨの反イスラエル感情に露呈する
のである。

 死海を見下ろす西岸に、そびえ立つマサダの遺跡、今のイス
ラエルではギリシャ語されたマッサダではなくメツァダと呼ばれ
る。「人々はくじを引いて10人を選んだ。残る者を殺す役目だ」
と史書にある。ダビデ王の統一がなったBC1004年、バビロニアへ
の捕囚を挟みながら、ユダヤ人はエルサレムを守るが、ギリシャ
の手が延び、ローマの支配が及び、ついにBC66年ローマへの大反
乱が起こった。勝ち目はなかった。最後に残ったユダヤ人のゲリ
ラ部隊が立てこもったのがマサダである。三年間もである。だ
が兵糧が尽きた。最後の日が来た。捕虜になるより死をユダヤ人
は選んだ。AD73年5月2日、「残る者は床に横たわり、・・・・
全て殺し、最後の一人は自害した」攻め入ったローマ軍は驚愕し
た。960人の死体が整然と並んでいた。洞窟に残った女二人、子
供五人によってこれは語り伝えられた。この日から、ユダヤ人の
世界中での放浪、漂泊が始まったのだ、・・・・・このような
史書を叩き込まれている欧米人と素養ゼロの日本人、このギャッ
プは埋められないだろう。

  מצדה

 masada-sunrise.jpg

 要するに、やれG7とか親欧米を謳っても、精神的な意味合いで
は日本は欧米と水と油の国でしかない。それは永遠に変わること
はないだろう。イスラエルは理解不能な虫の好かぬ国なのである。
その根底はキリスト教自体への違和感、その精神的支柱国家のイ
スラエルへの憎しみである。

 

この記事へのコメント