コメ不足、稲作にかかる経費の高騰で利益など出るはずがない。不採算による稲作断念の増加
コメ不足だという、これを酷暑だったから、はどうにも釈然
としない。社会的要因だと考える。国の減反政策、稲作のかか
る経費の高騰、肥料、農薬、軽油、ガソリン、物流経費、ほん
とうにコメを作って利益を出すのは至難だ。単に企業的経営、
大規模化では解決できない。「高齢化の離農など大規模化につ
ながるから喜ばしい」という論調もあるが、そんな単純なもの
ではない。大規模化、企業的経営の導入なら遠の昔から推進さ
れている。常にである。古くは農業構造改善事業など、合理化、
大規模化に国は躍起になっていた。それでも到底、超えられない
壁がある。
経費の高騰はウクライナ紛争も絡んで止まらない。円安で軽油、
ガソリンも急騰した。これがあらゆる面でコストの上昇をまねく。
輸送コストも上昇だが、ドライバー不足も顕在化している。農業
とは端的に言うなら利益のでない業種だが、稲作、米づくりも、
また利益が出せない。言葉は悪いが長年の惰性というケースが実
は一番多いと思う。高齢化は顕著で稲作農家の平均年齢は68歳ほ
ど、72歳に年齢ピークがある。若者の就農は、若者自体が少ない
わけだし、米づくりは容易なものではない。農業は自然相手であ
る、病虫害、また動物による害もある。一年間、多大な経費を費
やし、あの米価では赤字にならければいいくらい、大規模化、合
理化は長年、それこそ追求され続けたものだが、コストを価格に
転嫁できない状況に変わりはない。
ただし日本独自の要因として、日本の米作は、ひたすら、より
寒い地域でも稲作可能なコメのために耐寒性の高い品種の開発
に血道を上げた。だから元来、熱帯性植物で酷暑はお手の物、の
はずの米だが、日本のコメ品種は耐寒に特化させていて暑さに
弱い、という面は確かにあると思われる。
しかし不作と云って1993年のような不作ではない。釈然とし
ないが、インバウンドの影響を無視できない。年間、2000万人
に及ぶ外人観光客が日本で食事しているのである。
かくてコメ不足の2024年だ。特に大都会では入手難だ。スーパ
ーで見かけたらすぐ5kgを一袋買うという人が多く、入荷しても
すぐなくなる。昔のように込めの配給制、米穀通帳という時代に
も戻れないだろう。関東などでは地震への懸念もあって買いだめ
傾向が強いという。大都会部で安心してコメが購入できる状況は
まだまだ先に思える。
実は神戸に住む妹、コープに込めが全くない状態が続いている。
入荷すれば即座になくなる。「もうご飯を食べられない」とパニ
ックになったそうだが、私がすぐに送ってあげた。お米で心配は
掛けたくない。
やはり、このような点で地方に暮らすメリットも確かにあると
感じた。さすがに、必死で買いだめに走る人はほとんどいない。
農家自体が多い土地柄である。野菜だって自作の人は多い、農家
でなくとも、である。やはり食料不足こそ最大の危機である。田
舎暮らしのゆとりはこの点で間違いなくある。
農水省は9月になればコメ不足カ緩和されるというが、大都会地
では、やはり買いだめ傾向が強く、購入には不安がさらに続きそう
に思える。
この記事へのコメント
農家は、毎年120キロくらい備蓄米を残しているので新米を食べるのは翌年の春以降です。