ウクライナ軍のクルクス侵攻、プーチン大統領は今何を考えているのか?落とし所はあるのか?

 ダウンロード (2).jpg
 ロシアの置かれた外交的状況は実は悪くはない。BRICSの
加盟大国の暗黙の支持があるが、北朝鮮との蜜月の演出を
見ると、ちょっと不安を抱かせる部分はある。「あの北朝鮮
とまで蜜月アピールとは」である。無論、北朝鮮という国を
作り、金聖柱を偽金日成に仕立て、「将軍様」の独裁国家
体制を造ったのは紛れもなくソ連にしても、である。

 インド首相をEVに乗せて運転のプーチン大統領

 AS20240709000357.jpg

 それにしても、このような侵攻作戦は電撃的に目的を達成
し、短期間に切り上げねばならない。2014年のクリミア制圧
のように、また親露派によるドンバスの一部地域制圧のよう
な短期間に目的を達成、切り上げなければならないが、プー
チン大統領はターゲットを広げ、目的が広範囲に拡散し、他
方でNATO,EUのウクライナへの莫大な軍事援助、実質的な参
戦という予想外の事態を招いてしまった。ロシアの電撃作戦
が成功しなかったことで短期で決着は夢と消えた。だが、こ
れもターゲットを広げすぎた場合、ロシア軍は、その通常軍
事力は全く強力なものではないと世界に披瀝してしまったの
である。国家的一体性の乏しい国家、ウクライナのはずが、
あの元喜劇役者のゼレンスキーのフルパフォーマンスが続い
て予想外以上の強靭な抵抗を示している。もはや通常戦力の
戦いでロシアが決着をつけることはほぼ不可能な状況とはな
った。プーチン大統領の度重なる限定的な核戦力の行使も色
褪せている。間違いなく最多の核弾頭を保有しているのはロ
シアだが、核の応酬という状況は現実、望み得ない。

 結果的にダラダラ戦争になり、挙げ句にクルクスへのウク
ライナ軍の侵攻、プーチン大統領はこれに表向き反応をほと
んど示していない。なぜか?ウクライナ戦争がドロ沼化し、
ロシアに有効な手立ては乏しく、下手に発言することは実は
プーチン大統領の命取りになりかねないからである。ドンバス
への特別軍事作戦はなお継続中だ。

 予想外なことはロシアの経済的状況は西側報道が囃し立てた
ように、何ら壊滅にいたっていないどころか、ロシアの経済的
強さ、BRICS諸国、さらに親BRICS諸国が次々と現れる点で有利
な状況が展開している。「第一次大戦の状況に似ている」とさ
れたウクライナ紛争、戦争である。第一次大戦はドイツ軍のフ
ランスへの電撃攻撃で短期決着と思いきや、フランス軍の驚異
の粘り、泥沼の塹壕戦がつづき、とんでもない双方の被害の挙
げ句にドイツ経済の崩壊で終焉を迎えた。ならばロシアガドイ
ツのような経済的破滅を迎える可能性はない以上、第一次大戦
的な終結もあり得ない。

 戦車を駆使し、大陸での戦闘に本領発揮のはずのロシア軍が
簡単な戦車破壊兵器で無力化され、国家艦隊の旗艦、モスクワ
も沈められた、伝統の重厚な武器が次々突破され、もはや時代
遅れが証明され、ロシアはEUへの脅威となり得ないことも今回
証明された。ロシアの強みは核戦力、そして資源を持つゆえの
経済力であることも明確になった。核は無意味でも経済力は、
どこまでも有効である。

 ロシア内部はどうか、ロシア軍に不穏な動きという情報も
あるが、プーチンを追い落としたところで何らロシアに有利
な状況は到来しない。プーチンを倒し、ウクライナに降伏し
てもとの状況に戻れば戦争は終わるだろうが、ドンバスの
状況を見てもそれも不可能である。戦争は続けるしかない。
アメリカも莫大な軍事援助、実質参戦だが、アメリカも実は
存亡を賭けているからこその莫大な軍事援助である。

 第一次対戦は兵糧攻めされたドイツで帝政打倒の革命運動、
民衆蜂起も勃発、ドイツは内部から総崩れとなって終わった。
そのような結末はロシアにはまず考えられない。

 ウクライナ戦争の先行きは全く読めない。プーチン大統領
もまず安泰であるし、ロシア国民、ロシア軍もそれしか選択
肢はない。ロシア経済も制裁で疲弊はしているが十分持続可
能である。逆に欧米は自らの経済力を過大評価している。いつ
まで莫大な援助を続けられるのか、である。全く先は読めな
い。停戦を調停する存在も現在はない。トランプ大統領が再
選されたら、あるいは、であるがそれも容易ではない。

この記事へのコメント