新米が出回り始めてまずは安心だが、「コメは安くて当たり前」という考えを改めるべきか

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 新米が出回り始め、スーパーの棚からすぐにおコメが消えて
サトウの切り餅が並んでいる、なんて状況はまずはなくなった。
新米は東北からの出荷はさらに一ヶ月以上先だろうが、ひとまず
大混乱?は収束だろうか。首都圏の不足、買いにくさも東北から
の新米出荷が本格化すれば、ほぼ沈静化するだろう。まだ、しば
らく大都市圏の店頭での買いにくさは続く可能性はある。

 そこで論調を読むと、「官僚とJAが悪い」と糾弾、ある意味、そ
うかもしれないが、私はコメ作農家の極度の不採算、2023年度の稲
作農家の最終純利益は1万円という散々な結果、つまりほとんど全て
といっていい稲作農家は米づくりは赤字、一部の収益性の高い稲作
農家のために、かろうじて平均、1万円となったに過ぎない。考えて
ほしい、一年近く、あれだけ肥料、農薬、農機稼働、病害虫、禽獸
の駆除、各種農機具の費用、苗の調達、土壌改良など投入する経費
はすさまじい、それが個々に著しく値上がりだから、まず赤字は必
至だ。「大規模化で黒字化せよ」と云われても、、日本農業の原則
は基本、耕作する人が農地を所有する、それも時代の変遷で変わる
にせよ、その中ではるか昔から農業構造改善事業など、可能な限り
の努力を行ってきたのである。外国のような「大規模化」は無理と
いうものだ。

 ただメディアの意見はどうしても大都市圏の消費者の意向を汲む
ものとなる。なぜ官僚、JAが減反で一致団結なのかといえば、価格
の低下をまず避けたい、だが従来は安すぎた。もはや後継者もあの
米価では容易に生まれない、食料安全保障の観点は重要だが、そう
なると全く不採算の価格の安さも問題となる。官僚、JAの利権の結
果、コメ不足は怒りが湧く、というなら一理はある。だが稲作を続
けられ、後継者も生まれる価格が望まれるのは当然である。

 減反政策に終わりはない?とは思えない。転作に補助金が出ると
云うだけであるが、結果、減反の強制のように受け取られている。
それほどコメ作りは厳しいのである。補助金をコメ作りに出すと、
また作付面積が回復、米価が下落、それが怖いのである。

 昔の食管制度のように生産者から高く買い取り、消費者に安く、そ
のための食管赤字は国家の3K赤字として問題となっていた。だがコ
メの再生産、稲作の継続のためには生産者への価格保障は必要だが、
もはや食管制度はない。なら転作に補助金で、コメの生産を減らす、
と歪んだ形になってしまう。

 私は少なくとも従来のような消費者価格が5kg、2000円以下などと
云う安値はあってはならないと思う。3000円は利益ゼロのイーブンの
米価だろう。

 誠に考えさせられたコメ不足であった。生産者のことをまず私は考
えるべきと思う。あまりに厳しいのである。JAはジョーカーと見做す
べき、必要な組織である。

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