宝塚よ、どこへ行く「完結編」、先行き見えぬマンネリ、数しれぬ内部腐敗、OSKの追い上げも熾烈
さて、「宝塚よ、どこへ行く」の完結編、日本独自の「独身
女性」限定のレビュウで非常に特異である。欧米ではそれ自体
が異常とみなされ、相手にされない。「独身女性」だから、若
くして結婚したら「退団」となる。別に監視をしているわけで
もないから、男がいても結婚という形式を踏んでなければ構わ
ない。独身なら何歳でも舞台に上がれる、団員であり続けられ
たらであるが。春日野八千代、天津乙女なら70過ぎても舞台に
上がれた。別に「処女性」が問われてはいるわけではない。だ
がこういう規則、価値観は非常にグロテスクなものと見る人は
少なくない。初期ならいざ知らず、今に至ってもなお、という
ならその掟がアイデンティティにせよ、時代錯誤の茶番という
ことになってしまう。
私もちょっと以前の宝塚の内情は多少は知ってはいたが、最
近はよく知らない。でも基本はさほど変わったとは思えない。
時代錯誤の奇怪な掟の中で何がおきているか、であらう。一昨
年、若い女役の団員が飛び降り自殺した。激しい内部でのいじ
め、限りない嫉妬と突き落とし、衣裳に針が仕込まれることも
ある。背後の金と欲、独自の掟のなせるレズビアン、偽装結婚、
同性愛、「汚く異常なもの」が充満している世界と言える。中
には明朗に青春を謳歌し、舞台に生きて結婚退団、というケー
スは無論、いるだろうが、その前提が旧弊にまみれている。
「体調不良」での公演の中止が目立っていた。興行成績はまず
まず順調と思われるが、それだけで括れない問題が多すぎる。
宝塚音楽学校をでたら基本は歌劇団に入団となる。以前、と
云って昔は宝塚歌劇は阪急電鉄経営部に属し、団員らの給与、
というのかギャラも阪急電鉄女性社員に準じていた。そうなると
学歴は中卒が高校中退だから非常に安月給だった。今は、まさ
か阪急の女性正規社員に準じるともいえないだろうが、確かに
スタークラスは契約で高額が与えられるが、それが一部であり、
まして阪急正社員の給与は高いから、並の団員で阪急女性社員
と同等の給与が現在、与えられているのかどうか。
ただ衣裳代も大変であり、また卒後もレッスンを受けねばなら
ないが、これは個人的となってレッスン料はかさむ。やはり教師
に高額のレッスン料を払っていたらいい役に抜擢されるのでは、
という期待も手伝ってその財布は楽ではなさそうだ。だから超富
裕な、財力ある親を持てたら万事に有利となる。金が全てでもな
いが、その傾向はますます強い。
宝塚の表向きのキャッチフレーズは「清く正しく美しく」であ
るが、その裏の意味するところは、「キレイに札束を揃えて出す」
ということだ。努力実力も一定ラインは必要としても、実はあっ
てないようなもので、それに「容姿端麗」というが、現実の生徒
達を見ても格別、でもない。「なんでその顔で入れた?」と生徒
同士で訝しむのは日常である。だが、全てではないが、ますそう
いう「容姿端麗」でない生徒の親は有力者、富裕なのである。
宝塚の生徒、団員は九州出身者が多く、そかも財産家の娘が多
い。古い話だが轟悠は超お嬢様であり、実家は熊本で新聞社を経
営、不動産王だった。娘の夢や希望に費やした費用は組でのラン
クアップのために使われ、おまけに醜悪なレズ関係への費用負担
もあった。
宝塚出身の東小雪さんが同性結婚したが、無論それは全くご自由
なのだが、確かに同性愛を生む傾向が極端に強いのも宝塚だ。宝
塚的な言葉で「仕込み」というものがある。先輩が後輩に教える
ということだが、舞台に関係ない、奇妙な仕込みがある。それが
同性愛、レズの始まりだという。連綿と続くものだ。ふつうの純
潔な少女は男子禁制の寮でレズを経験することが多い。寮ではふ
つう、先輩と後輩が二人一組、同室となるから先輩には絶対服従
となる。その理由は、やはり性欲のはけ口ということだろう。さ
らに「召使行為」の強要である。
「いじめ」は深刻で、「嫉妬」に起因するケースが大半だ。衣裳
に縫い針、東小雪さんの体験だった。初舞台でやめられたそうだ。
出来る生徒はいじめに会いやすい、戦前の話だが、月丘夢路がダン
トツの美貌で人気を集め、同僚生徒の嫉妬を買っていた「ツメ(月丘
のこと)は先生に色目を使っていい役をもらっている」と散々なイジ
メにあったそうだ。東北出身の生徒がネットで「一番キレイだ」と
話題になったため、激しいじめにあって寮で洗濯機を使わせてもら
えない、あげく退校処分、裁判になった。
他方で暴力団員と付き合ったり、素行不良の男といい仲になる
宝塚生徒、団員もいる。実際に本に書かれている話、久世星佳、
大変な車好き、大パワーのアリストで原宿の元宝ジェンヌ経営
のパブに乗り付けた。完全な違法駐車で一方通行を阻害するもの、
摘発もされない。千秋楽の打ち上げだったが、若いジェンヌら30
人ほどが待っていた。入口にはファンから贈られた花束が、当時
の久世星佳の人気を示していた。一時間ほどで皆若いジェンヌ、
がタクシーを呼ぶんで帰っていった。久世が来て三時間、「本日
貸し切り」の看板、若いジェンヌが消えて男性客が数人はいって
きた。ついに午前零時、どこまで酒を飲むのか、というレベル。
午前一時に久世は出てきた、完全に泥酔し、げっそりやつれた顔
にスターの面影はない。その泥酔状態でアリストに久世は乗り込
んだ。超飲酒運転であるが天下御免である。非公認がファンクラ
ブの幹部たちと飲んだ。駐車違反、飲酒運転、信号無視、速度違
反を立て続けにだが助手席には男がいた。その男と東京ウェステ
ィンホテルにチェックイン、スターにして「清くもなく正しくも
なく美しくもない」というのは日常と言わざるを得ない。
長時間の大量飲酒、違法駐車の後、アリストを運転し、パブ
を離れる久世星佳 鹿砦社の本から転載
これは母から聞いた話だ、戦前のこと、神戸の和菓子屋、なん
といったか、そこへ宝塚生徒が買い物に来た、和菓子を買って買
えるジェンヌの後ろ姿を指差し、和菓子屋の女主人は「あの子は
夜はからだを売っているんだよ」。まあ、必要に迫られた窮余の
策かもしれず、にせよ、ヅカジェンヌの素行は表に出ないだけで
大いに今も昔も問題があるということで「清く正しく美しく」は
それをかけ離れている、という白々しい悲鳴にしか過ぎない、と
いうことだろうか。
実力もあってスター性もあり、将来性もあって人柄もいい、
などという生徒は非常に稀だ。いても「金」という条件をクリア
しないといい役に恵まれない。結局は目立たない生徒として(団で
は団員を生徒と呼ぶ)終わってしまうか、イジメにさらされてしま
う。公演ごとに出たらイジメられ、お金を包んで役をもらうなど
ということにもなる。また阪急財閥の総帥、幹部らの個人的なお
メガネにかなえば「優遇」されるのも事実。汚い世界には違いな
い。
宝塚には魅力はある、だが同時に内部の醜悪さもあまりに多い。
舞台に立つのになぜ大金が必要なのか、音楽学校に入るにもコネ
と金、個人レッスンを受けるにも芸名をもらうにも、成績さえも
金を必要とするのはなぜか、である。団にそれらの見返りを与え
られない生徒たちはやめていき、こんな土壌から育つスターとは
一体、何ものなのか、と思ってしまう。
宝塚歌劇の親玉は阪急、東宝コンツェルンますます巨大化の
一途である。巨大な資金力、政治力を持ち、もはや歌劇団の内部
の腐敗、問題を正すなどという凛たる気持ちなど毛頭ないようで
ある。私がOSKに足繁く通い、宝塚は決して見ないのはその内情
に怒りを感じているからである。
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