BYD世界販売400万台、中国の超限戦、「自動車の家電化」による日本車追い落としにどう対抗すべきか
BEVは実用性を考えるとよほど画期的な電池が将来、発明され
ない限り、およそ普遍的な実用性を持ち得ないことは明らかで
ある。まず基本的にLiバッテリーが本質的に気温の影響を受け
るためである。低温、零下以下ではそのパフォーマンスは極度
に低下し、また40℃以上になっても充電、放電効率が悪化する。
また充電時間の問題である。この点において冬季の寒冷地域の
多い日本、また賃貸駐車場利用のドラーバーが非常に多いこと、
送電設備に莫大な銅資源などメタルの乱用が著しいことなど、
車の廃棄処理の問題、社会的な問題が多い。BEV自体はエンジン
車より古い歴史をもち、終戦後も石油の購入も困難な日本はEV
と木炭車を国民車にしようとさえした。プリンス自動車も1951
年まではしたがってEV専業であった。だが、すぐにEVは消えて
しまった。なぜか?エンジンにまつわる数しれぬ技術的困難、
石油輸入の困難さ、まだ未整備だったガソリンスタンド、それ
でもEVは消えてしまったのだ。その理由を考えれば普遍的なEV
使用が無理な話だとわかるはずである。
中国の超限戦は心理戦、とくにドグマ利用を根底においてい
る。それはCO2一元原因説の地球温暖化気候変動論である。これ
は欧米が大きく関わっているから中国にすれば渡りに船であった
。古来、人間は大衆操作、心理操作のために天変地異、異常気象、
気候変動による地球終末論を繰り返し、唱えてきた。今回もそう
だが、従来と異なるのはいかにも本当らしく、国際機関、国家組
織、学術組織、マスメディア、環境団体、が幅広く同時に決定的
に関わっており、ドグマの支配のための尖兵であることだ。だが
本質的には大昔から人間社会に繰り返し、なされてきた天変地異、
異常気象、気候変動による終末論と変わる点はない。それらが現
代的に大規模に修飾されているだけである。
とにかく中国は欧米の主張した反CO2教ドグマをここぞとばか
りに利用した。家電、IT機器、電子製品、で21世紀初頭までは
世界に圧倒的だった盤石のはずの日本を追い落とした。造船、鉄
鋼、¥でも、繊維製品などは遥か前に日本を駆逐している。だが
一つだけ、自動車産業だけは日本には到底、及びがつかない。台
数は作ろうと世界において競争力がない。だが反CO2ドグマの蔓
延である。BEVとなれば自動車を家電の範疇に押し込めることが
出来る。日本の追い落としが可能となる。日本だって製造できる、
なら白物家電を中心になぜ家電で日本を追い落とした、世界市場
でである。そのパターン、政府補助による低価格、他国に真似が
できない低価格を可能とする戦術である。
超限戦という戦略で絵に描いたような脱炭素ドグマを容赦なく
利用、BEVとなれば要はバッテリーだけだ。それらのメ゙タル資
源で圧倒的な優位に中国は採掘から加工まで立っている。モータ
ーのためのコバルト資源確保のために早くからアフリカ進出を行
った。中国の戦略、超限戦は相当以前から始まっていたのだ。
今年でBYDはすでにフォード、ホンダを超える台数をBEVで叩き
だしている。来年は600万台にたすると見られ、GM、テスラを超
える勢いである。また欧州、アジア、中南米で工場を稼働させて
いる。だがその生産台数の圧倒的部分は中国国内向けである。
日本は家電、IT製品と同じように中国に依って駆逐されるだろう
か?瀬戸際だが、しかしBEVの実用性は限定的である。ドグマという
政治によって拡大している側面が強すぎる。
まずバス、トラックを除き、日本市場に中国車は入ってこれない。
また反脱炭素、反中国のトランプ大統領のアメリカ市場にも入れな
い。いうならば日本のメーカーにとって中国車が入れない日本市場、
アメリカ市場を絶対的に重視すべきということである。また国内で
決してBEV以外の販売禁止などという中国の最終勝利を意味する策を
取ってはならない。
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