『成田空港って何だろう』松岡秀雄、1981,あの異常な遠さ、誰かあの場所に決めたのか?成田を述べる唯一の本


 私は成田空港は利用したことはないが、東京の知人の愚痴で
あるが「成田って本当に遠い」とうんざり、の様子。東京駅か
らの距離は66km、他に遠いのは札幌から新千歳だが札幌駅から
は57km、ただし一直線のJRの路線がある。対してJR東日本が東
京駅から専用鉄道で成田エクスプレスがある。平均して65分、
くらいだという。札幌駅から新千歳はJRで38分でだいぶん短い。
だいたい新幹線のぞみ、で岡山駅から京都駅まで59~60分であ
る。広島駅から広島空港まではバスで50分?山岳地で心理的に
プレッシャーがある。成田はやはり遠いのである。・・・・・
あの場所に誰がどういう経緯で決めたのか、だが、それについ
て述べている本が1981年にでた『成田空港って何だろう』だが
既にそこで農業を営んでいる方が多いのに、いきなり機動隊導
入で泥沼、誰が決めたのか、と思いたくなる。本当に罪な決定
であった。

 新空港があの場所に決められた経緯、当時の運輸省内の論争を
述べている。

 成田空港をあの場所に決定したのは、というおりまず発案した
のは飛行課長の丸居幹一である。


 以後、丸居幹一その立地の計画の推進の中心的役割を果たし続
けた。


 丸居の考えはまず空域、関東地方の空域を4つに分ける、
というものであった。

 東に防衛庁の百里基地空域、西に米軍の横田空域(入間、横田、
立川、厚木の4基地)その中間に羽田の空域と新たな成田の空域
を加え、その4つを分離し、それぞれ管制、誘導しようという
ものだった。

 要は都市空港は地上設備だけではどうしようもなく、適正な
空域の決定、そこに至るアクセスの整備なくして意味をなさな
い。だが空域は百里と成田は重なる部分がある。これが問題を
惹き起こした。次々に入る航空機を上空で旋回させ、空港に導
く滞空空域、・・・・・だが著者はそれらが不完全であると立
証しているのだ。百里と成田でホットラインで綱渡りとなった。

 空域は必須だが、同時にアクセスの問題、燃料輸送の不完全
さ、なども即座に露呈である。

 著者の松岡秀雄さんは、成田空港は利用者からすれば欠陥空
港であり、東京湾を埋めたてての海上空港以外にはない、と断
言している。だが成田絶対の政府方針は変わることはなく、海
上空港案は今なお無視である。

 ここから著者は羽田空港の拡張を強く主張している。まずは
東京都民の利便性こそ最重要であって、羽田空港の持続的拡張
以外に選択肢はないという。だが、このような計画が羽田拡張
は国内用だと政治的に歪められたその過程をも明らかにしてい
る。


 意外と成田空港についてその経緯を述べた本は少ない、とい
うより唯一の本がこれである。


 成田エクスプレス

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この記事へのコメント

killy
2024年12月19日 20:38
開港当初に管制塔を占拠され、マスコミが「羽田ではダメなのですか?」という問いに運輸大臣は「あの位置でないとダメなのだ」と言い切りました。日本の大臣はド素人ですから。
纐纈 晃
2024年12月19日 22:40
成田空港の不便さは異常、しかもJRも私鉄も線形が悪い。関西空港も不便だ。維新はおカネが大好き、“関西”と名の付くものは利権の匂いがプンプンする。先生もそのあたり さらに追及して記事に上げてほしい