トランプ、日鉄会長の会談は決裂必至、日鉄のUSSの完全子会社化の強硬姿勢は不変。全ては烏有に帰す運命にある

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 とにもかくにも日鉄のUSSの完全子会社化の方針は永遠に
不滅ということで、その徹底強硬姿勢はあたかも世界の支配
者であるかのようだ。官立八幡製鉄所から日本製鉄、戦後は
企業分割で八幡製鐵、富士製鉄に、その後、「新日本製鉄」
に、独禁法上の問題で実際、大もめにもめたが実現した。
日本の最大規模の企業の地位も売上高では下降の一途、中国
への投資に活路を見出してきた。

 中国宝山製鉄事業からの撤退、は日鉄をUSS買収に向かわ
せた。2023年12月、日鉄は149億ドル、一株あたり55ドルで
USSの買収を示し、ライバルのアメリカ鉄鋼大手、Cleveland
Cliffsの提示の73億ドルの約2倍、だがあのアメリカの象徴的
企業、カーネギーの流れをくむ超名門企業の買収と思えば、
なんとも低価格である。

 日鉄のUSS買収、完全子会社化への異常な強硬姿勢は中国
からの実質撤退と日本国内経済、市場への絶望的な展望があ
る。大規模な対米輸出のトヨタなどにしても、その継続は困
難、類を見ない超々高齢化の進展は経済の縮小を必ず招く、
基本素材産業の日鉄が「もうアメリカ市場しかない、USSを
子会社にしてアメリカ市場を最終的には支配する」という、
生き残りと同時の壮大な魂胆を秘めているからである。

 他方で日鉄が育てた中国の鉄鋼産業は超拡大し、過剰生産
、輸出に邁進である。だがアメリカの製造業は衰退の一途、
鉄鋼と造船という最も基幹的な産業で顕著である。日鉄は将
来のすべてをアメリカ市場、しかも最終的な支配にかけた。
それはUSSの完全子会社化が起点となる。いかなる妥協もし
ない、と真珠湾攻撃寸前の日本軍のような強硬姿勢ではある。

 そもそもUSSはアメリカでも没落をかさね、多くの部門を
売却した。売上も減少、株価も下落、アメリカの上位500社
株価指数 S&P500からも削除された。時価総額の破滅的下落
である。ついに2023年8月、USS自身が「戦略的投資家を求む」
と発表を行った。

 その「戦略的投資家」募集に応じたのが日鉄だ。時価総額
の下落でUSSなど安いものだ、円安でも支障はなかった。

 日鉄は買収と引き換えにUSSの設備更新、雇用と年金維持
、USSの名称維持と本社所在地変更せずの表向きは大盤振る
舞いでUSS経営陣と従業員ら「魅了」したが、全国鉄鋼労連
USWとアメリカ政府が反対した、アメリカへの対外投資、買
収を審査のCFIUS、アメリカ対外投資審査委員会は国家のセキ
ュリティーの観点から否定的な判断を行い、退任直前のバイデ
ン大統領が国家安全保障の見地から日鉄のUSS買収の中止命令
を発動した。

 ・・・・・そこで日鉄は訴訟戦術である。バイデン大統領の
決定を不当な介入とし、USWの会長とライバル企業のCleveland
Cliffsのゴンサルベス氏の「違法な妨害行為を行った」として訴
えたから、たいした度胸である。

 トランプ、石破会談で「買収拒否、投資歓迎」とトランプ大
統領は述べたわけだが、これこそ日鉄が断固拒否、買収、完全
子会社化以外は考慮しない、という姿勢からナンセンスの極み
というものだ。経産省もあるいは事前の策、投資を買収に結び
つけよう、と考えたかもしれないが日鉄の超強硬姿勢は次善の
策も断固拒否である。

 トランプ大統領が「日鉄の執念には兜を脱いだよ、どうぞUS
Sを子会社にしてくれ」と方針を変えるか、

 訴訟で完全勝利、大統領命令も無効に

 なら日鉄の目的達成だろうが、・・・・・・・

 USSはいかに衰退しようとアメリカの象徴的ないわば例外企業
である。

 日鉄は典型的な親中企業であり続けた

 アメリカの製造業の中枢を海外に支配されることへの安全保障
上の懸念

 アメリカの裁判所は建前では大統領の命令さえ否定は可能だ。
最高裁まで持ち込まれるかも知れない。多分、そうなるはずだ。
アメリカ最高裁はどこまでもアメリカのためのアメリカの国家
機関でアメリカ政府の使用人で構成される。アメリカの利益の
ためにである。単にUSSの経営不振以上の守られるべき価値を
最高裁は考慮するのである。大統領の命令を反故にして日鉄の
肩を持つとは常識的に思いにくいだろう。

 アメリカ最高裁は「アメリカの公益」を守るためと明確に
規定されている。それはUSSの経営などという企業レベルの
問題より、さらに高次なアメリカの真の公益を希求するとい
うことである。

 全ては烏有に帰すはずである。ご苦労さま、である。
 

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