山森将智家という架空人物のコメディー、大笑いの偽医師なりすましのちょっと変わったバリエーシ。土日は水商売の手伝いに行っていたはず

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 実は私はこの話を今まで全く知らなかった。でもちょっと
聞いて、これは大笑いのコメディーだと思った。だって、何か
ら何までおかしいじゃない。浜松医大で心臓外科で土日だけ「
研究室」に行って何か実験、・・・・そんな勤務形態なんか絶
対ないよ、基本、土日は休みだよ。附属病院も、「身分は?」
そんな勤務形態はないけど、教授、助教授、講師、助手か非常
勤講師か客員教授か、今は助教授は准教授、講師と助手を合わ
せ助教というのか、どうか。土日にだけに研究室に?あらゆる
意味であり得ない。5年間、いっしょにいて内縁の妻が土日に
浜松医大に一度たりとも電話しなかった?この世のことじゃな
いよ。そんな勤務形態の医学部職種、ま、土日バイトの警備と
か清掃とかなら別だろうが、・・・・・それもないねぇ。それ
を真に受ける人間がこの世にいたとは。

 でも医学部で外科ならあの当時は第一外科、第二外科、第
三外科とまずある。「心臓外科研究室?」それは下位区分な
らあるかもしれないが、まず第~外科が基本だ。

 浜松医大、職位というか地位は不明、でも正規職員なら給与、
ボーナス、福利厚生があるだろ、それで健康保険証がない。
そりゃ受診しなきゃ、健康保険証は出さないあろうけど。でも
医師で浜松医大なら相当な収入があって当然だろ。平日は家で
なにかやっていたにしても、生活費なんか誰からもらってた?
内縁の妻の離婚慰謝料で結局、生活していたと解釈するしかな
い。それをおかしいと内縁の妻は一度も思わなかった?考えら
れな。浜松医大の医師が東京に住み、自宅も所有せず、スナッ
クで知り合った女のアパートに、運転免許証も健康保険証も
持たない、平日はアパート、別に法的な夫婦でもないのだら、
どんな演技も、まあ、ゆるされる。それをなぜ朝日新聞が?
ちょっと疑問ではある。

 大学医学部職員なら医学部所属か、附属病院所属か、いず
れかだ。証明書を見たら「病院医師」としてあるから、・・
医学部所属ではない。これは多くの人が指摘しないが常識だ
が重要だ。附属病院医師がは土日でも病棟の患者をみること
はある。がいかなるばあいでも平日全て休みという附属病院
医師はいない。以前は講師、助手でも医学部所属、附属病院
所属とあり、医学所属の方が同じように見えても多少、格上
ではあったようだ。噂だが。でも、浜松医大職員証、よく作
ったね、ひっかかる女を探していたんだ。近い医学部なら実際
に見に来られるから、浜松医大に。極端に遠隔だとまた疑われ
るし、見に来られず、また怪訝に思われない位置が浜松医大だ
ったんだろ。

 でも医学書はドイツ語、医者はドイツ語?そりゃ、大昔の話
だ。終戦後しばらくはそれでも医者はドイツ語、という風潮は
あったが、1965年位から医学は英語、解剖用語、学術用語はラ
テン語だよ、解剖学の試験でもラテン語で部位名をかいたら点
数アップだった。先端医学、生物系科学はただただアメリカで
ある。だから英語だ。ドイツ語などはるか昔の化石に近い。

 医者に絶対必要なのは大学医学部卒業証書と医師免許証だ。「
卒業証明書」は一回きりの使い捨てでしか持たない。これは常
識として知っておくべきだ。


 でも年代は昔の男だ、1991年に死んだ時点で63歳、1927年、
昭和2年生まれだ。今生きていたら98歳というフルーい年代の
男だ。芥川龍之介が自殺の年に生まれたんだぜ、スナックのよ
うな飲み屋で内縁の妻と会ったときが58歳だ。それを45歳とサ
バを読んだが13歳も男がサバを読むとは、若作りだったのか、
どうか。でも内縁の夫婦はさまざまなタイプ、レベルがある。
全く普通の夫婦同然で籍を入れてないだけ、というタイプもあ
るけど、実は多くがキツネとタヌキ、双方が偽名を使って出身
も不明、それを双方了解、なんて内縁の夫婦もある。それも確
かにありだよ、「ずっと一緒にいるけど、本当の名前は知らな
い」なんてケースは必ずしも珍しくもない。片方だけが偽名で
嘘を突き通す、というケースが山森将智家だが、正直、関の夫
婦でもない内縁の夫婦でなぜこれほど問題視?・・・・

 それはひとえに京都出身の自称、山森将智家の演技の面白さ、
普通ならそれはただちに見破られるレベルを長く信じて見破ら
なかった純粋!な女心、その取り合わせの妙だ。だから「嘘を
愛する女」なんてタイトルで映画化されたわけだ。

 でも1927年、昭和2年、・・・・・・か昭和20年、終戦の年
に18歳だから医学部に入ったのが事実なら旧制高校の一年だろ
うか、旧制の教育制度の人間だ。医学部に入ったなら昭和22、
23年くらいで戦後のドサクサの時代、食べるものにも事欠いて
いた終戦後の日本だ。

 最初は正規の法律婚だから身許は妻は知っていた。だが終戦
のドサクサの時代の医学部中退はそもそも事実かどうか証明す
るものは実際ない。また別の大学に行って「履修科目証明」を
請求なら、・・・・・可能かもしれないが。それは無論ないだ
ろう。でも医者の診療用具を取り揃えていた、でも写真で見る
と古色蒼然。いっておくが1980年から1990年なんてスマホがな
く、ネットも今ほどないだけで基本、現在と同じか、はるかに
活気のあった時代だ。日本はあらゆる産業で世界トップだった。
「エレクトロニクス」でも。あの時代、あんな古めかしい診察
用具、もう医学では遥か前からドイツ語の時代ではないのに、
ドイツ語の本、ドイツ語の書き込み、・・・・・・よほどコン
プレックスがあったとしか思えない。

 で土日どこへ、私はまず間違いなく水商売の手伝いに出かけて
いたと考える。電気工事会社はうまくいかず、1972年に失踪、一
人で出てどこへ行って生きていった、・・・・水商売だよ。女じ
ゃないから裏方的な仕事だ。深く考えても仕方がない。だが、あ
れほど凝った偽造、見破れるけど、あの人物なりの凝った偽造は
、別に内縁妻用に作ったわけでなく水商売の世界で使うためだっ
たんだ。

 内縁の夫婦はこういうと悪いが、狐と狸のバカしあい的なケー
スは少なくない。だから、山森の話は山森将智家の虚構が面白い
から、それをまじ信じた女がいたという面白さ、で、まあ朝日新
聞が1911年11月に記事化したからこうなっただけで、ほんと、大
笑いで聞き流すほどの花話だよ。

 でもさすが京都市左京区の生まれだから偽名も奥ゆかしいな、
山森将智家なんて。京都の同級生には万里小路なんていたな、癌
は水商売での過剰飲酒が影響していると推定する。

 ・・・・・・・でも平日は在宅、土日だけの大学心臓外科医、
いるはずないよ。世界に一人もいない。それを信じた女がいた。
だから映画化、話題としては面白いが不憫だね。

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