『日本のいちばん長い日』文藝春秋、克明な終戦秘話だがタイトルは「The Longest Day」(史上最大の作戦)のパクリ

映画でも有名になった終戦秘話を克明に描いた内容で、最初
は「大宅壮一編」ということだったが現在は半藤一利が著者と
なっている。しかし、ちょっと変わったタイトルである。猿真
似の日本人だから全く独創とはいかず、あの映画「史上最大の
作戦」で勇名な原タイトル、The Longest Day、つまり「いちば
ん長い日」の借用である。これはアメリカ報道班員コーネリア
ス・ライアンによる「The Longest Day」である。無論、ノルマ
ンディー上陸作戦を描いたものだ。・・・・・。本当に真面目
ななんとも克明な内容の本だけに、このパクリのタイトルはち
ょっと疑問を感じる。
内容は日本の無条件降伏した1945年、昭和20年8月14日の正午
から「玉音放送」が行われた翌8月15日正午まで、の丸一日、長
い一日を一時間ごとに区切って実に綿密に克明に起きた事象を記
したものだ。
この24時間に何が起きたかは多くの記録があるが、それをこれ
ほどまとめた、詳細克明な本は前にもあとにもないように思える。
阿南陸軍大臣の割腹自害のあと、その傍らで、竹下という中佐
が
「俺は今、ここに陸軍大臣の印鑑を預かっている。やろうと思え
ば、全軍蹶起という命令を下せるのだ。おい、やろうじゃないか。
このまま、おめおめと引き下がれるか」
と言ったとかいうエピソードとか、反乱軍の畑中佐が、最後まで
自分たち青年将校の気持ちをラジオを通じて国民に訴えさせてくれ、
と粘った話。
15日正午の玉音放送の直前に、一人の憲兵隊中尉が
「終戦の放送なんかさせてたまるか。奴らを全部たたっ斬ってや
る」とスタジオに乱入してきたという話。など当時としては日本で
初めて表に出るような話が数多い。
初版のあとがきでは「大宅壮一指導のもと」、執筆担当は文藝春
秋の戦史研究会のメンバーによる。
部分的には気負いすぎた表現も目立つが、そんな欠点など忘れそ
うな内容、面白さではある。・・・・・それにしても旧軍人、陸軍
軍人の凶暴さにはほとほと呆れ返るしかない。
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