今年だけの奇策の備蓄米大量放出で結果的に食の安全保障への歪みが出ないだろうか。「国民くみしやすし」か?

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 間違いなく言えるのは今年だけ可能な奇策ということである。
「今年だけでも安く買えるならいい」といって古古米、古古古
米に行列する心理はどうにも解せない。コメがない、という事
態なら前の晩から行列もあり得るだろうが、現状は供給は順調
である。つまり「価格」が問題だ、というわけである。日本人
、家族で一ヶ月平均のコメ消費量はどれくらいだろうか、これ
は家庭によって違いがあるが、うちの場合、3人で月、10kgは
消費していないようだ。5kg、2袋は消費しないから、値上がり
でも、正直、今までが安すぎた気はするから、農家の方の収入
が多少でも増えるなら、それでいいと思っていた。食管制度の
時代のように米価を政争の対象とスべきでないと思う。米作農
家の知人が多いので、その米作のあまりの不採算性はよく耳に
した。今後、米作後継者が途絶えたら、という不安を私はずっ
ともってきた。皆、一様に「子供はもう田んぼはやらない。
農家など兼業でもやっていたら息子に嫁が来ない」それは、も
うずっと昔から聞いてい言葉だが。

 さて、「今年だけでも安く買えるのは小泉のお陰」といって、
すべて国民負担で維持管理の古米から古古古古米である。玄米
で保管している。すでに小泉以前、30万トンは放出していたそ
うだから残り、古古古古米まで含めて70万トンだ、それも相当
部分、さばけているだろう。現在はおコメが量的に買えないと
云う状況ではない。

 しかし一家族、月10kg消費と考えても、古古古米に前夜から
並んで行列、とうほど困窮している方々が多いなら今回だけの
奇策より、なぜ消費税大幅減税など恒久減税を実施したほうが
はるかに家計にプラスのはずだ。それが一時しのぎの奇策であ
ればあるほど、行列するほどの熱狂は言葉をうしなうのである。
「安く買える、文句を言うな」にしても、それが今回のみ、今
後の食料安全保障をどう安定化するか、という思索に結びつか
ないと、またしても郵政民営化の大熱狂と同じ小泉愚民化劇場
となってしまうのではないか。

 今回の小泉の奇策はどういう結果をもたらすだろうか。一時
的、5kgを安く買える。それが古古古米でもである。だが今秋
以降、何が起きるかである。

 ①米作農家は価格下落トレンドの時期に新米を出荷したくは
 ないから、新米の市場への供給が時期的に遅れる。新米の不
 足という現象が起きる可能性。新米がスーパーなどにあまり
 並ばないという危惧。決して杞憂ではない。

 ②備蓄米は基本的に放出は予定されれいないもので、かりに
 放出しても買い戻すが、今回は買い戻さない。倉庫業からすれ
 ば倉庫収入がゼロ、大半の備蓄米が放出では倉庫の廃業が相次
 ぎ、今後の備蓄米貯蔵に大きな支障となること。

 ③古古古米などを特に高齢者が食べての健康被害の可能性

 ④政府の施策を見て、今後の米価に悲観的となって米作放棄、
 離農がさらに加速するという可能性。

 ⑤日本の米作の低迷から、国がカリフォルニア米などの輸入 
  を画策する可能性。米作放棄の農家の増加を確実に招く。
 古古古米バカ騒ぎはすぐ終わる、次は「改革」と称しての
 アメリカ米輸入につなげるはずである。アメリカの対日要求
 で実範された郵政民営化に超熱狂の小泉劇場を、こんどはア
 メリカ要求の米輸入で再現しようという腹積もりであること
 は疑いない。古古古米に超行列の殺到振りを見て、小泉は「
 国民くみしやすし」とほくそ笑んでいるだろう。

 消税減税、財務省解体などの自民に不利なテーマを忘れさせ
るという愚民化効果を狙っているとするなら、たいしたメカゴ
ジラである。しかし悪いことは、今回の古古古米に大行列で、
国が「国民は生活困窮に置く方が御しやすい」と考え、ますま
す増税を仕掛けてくるのでは、という懸念である。

 いずれにして食料安保という観点から、国の施策は全く意味を
なしていない。「今回は特別」というが、そうとも言ってはおら
れない状況が恒常化しかねない。

この記事へのコメント

killy
2025年06月03日 09:13
矢掛町の放置された休耕田では、水田に戻すには重機を入れて木の根を取り除く必要があり、高額な費用がかかります。
さらに農業後継者がいません。10年後は悲惨です。
全国規模となると、いきなり米をつくるのは無理です。