結局、川端康成の自殺の原因は何だったのか?[第一回]稲垣足穂の度重なる川端罵倒、足穂に心酔の三島由紀夫


 三島由紀夫との関連で川端康成の自殺についてわりと詳細に
論じているのは板坂剛『真説 三島由紀夫』である。それ以前
、板坂剛は『極説 三島由紀夫』を出している。これは力作だ。
この本なくして三島由紀夫の実態を知るすべはない、は大げさ
ではない。よく書いている。実に。で、だいぶん、雰囲気は変
るのが『真説 三島由紀夫』だ。私は正直、三島由紀夫はどう
でもいい作家である。詩人、伊東静雄の住居に、まだ終戦間も
ない頃か、三島以前の平岡公威が訪問したのだが、その日の
日記に、伊藤は平岡公威について簡単に「俗物である」と書い
ている。誠に図星だろう。

 川端の自殺を三島絡みで細々と書いている「真説 三島由紀
夫」だが私は板坂は重要なことを全く書いていない、ふれても
いない。それは三島由紀夫が晩年、稲垣足穂に徹底的に心酔し
ていたことだ。稲垣足穂は小説家としての川端を「千代紙細工」
として全く持っての低評価をしていた。しかも、ことあるたび
に川端批判を行っていた。何が稲垣をそうさせた?真実の文学眼
がそうさせたのは明らかである。川端文学は異例なほど代作が多
く、まら編集が手を加え、編集部が代作も依頼し、結果、ツギハ
ギになってしまうことが多かった。それらの事情に通じた稲垣の
怒りがあったと思う。

 その稲垣足穂にまさに三島は「ぞっこん」だった。あの総監に
乱入の年、はじめに澁澤龍彦と対談で「僕が世間から大笑いされ
るようなことをしでかしても、稲垣さんだけは理解してくれると
いう確信があるんだ」とまで云っている。だから稲垣が全否定の
川端康成など「内心」どう思っていたか、『推して知るべし』で
あろう。

 かくして川端の晩年の三島絡み、その自決後の状況は実際、あ
るいみ、惨憺たるものであった。


 さらに続きます。

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