『わが父ルノワール』ジャン・ルノワール著、あのルノワールの人と生涯、「絵は見るものでなく、一緒に生きるもの」との教え

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 どう考えても日本人に非常に親しい画家、オーギュスト・ル
ノワール、でセザンヌと並ぶ存在だろう。非常に日本人に愛好
れてりう画家である。その作品は親しみやすい。でその人と生
涯はとなると現実、ほぼ知らない。それを息子の映画監督、ジ
ャン・ルノワールが「わが父 ルノワール」云うタイトルで執
筆したものだ。

 1841年~1919、フランスの田舎の洋服仕立て職人の家に生ま
れたオーギュスト・ルノワールが磁器職人、テントの絵描きと
いう仕事を経て、当時の社会からは認められない貧乏な画家と
なり、41歳で少女と結婚し、徐々に独自の画家の境地をひらき、
深度をふかめていく。実の子供でしか知り得ないルノワールの
各時期の電気的な正確さ、詳細さ、当然ながら追随を許さない。
非常に貴重な内容だ。具体的にルノワールの絵の道具や絵筆の
使い方、それらの実に正確な描写もある。といって奥義秘伝の
伝達を目的ともしていない。

 ルノワールが娼婦のヒモにされかかったこと、パリ・コミュー
ンの騒動のときに、銃殺寸前にまでなったこと、誰も伝えない
エピソードも惜しげなく述べられている。といって興味本位の
本ではないだろう。

 ルノワールとは、と言われても、人間自体よりその絵がある意
味、全てであると思える。人間より常にその絵が読者の前に立ち
はだかる。だがこの本は評伝だ。ルノワールが絵筆で表現しよう
としたものをジャン・ルノワールは言葉、そのフランス語で表現
しようとしたのだろう。

 やはり本質的なこと、つねに父が「絵は見るもんじゃない、いっ
しょに生きるものだ」と教えていたこと、江戸川乱歩の『押絵と旅
する男』をちょっと想起したくらいで、まさに絵画の持つ芸術性の
本質を言い放ったように思える。

 ジャンが父の評伝を、この評伝を書いたのは父が死んで半世紀も
過ぎてからであった。

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