YS11、初飛行で墜落寸前。戦後によみがえった「一式陸攻」、旅客機製造経験のない悲劇。極端なアンダーパワー、ワイヤー式操縦桿、人間工学を徹底無視の設計、トラブルの塊の大径プロペラ


 1962年、昭和37年8月30日、愛知県上空での初飛行に「成功」
したYS11。戦後、航空機製造を禁止されていた日本がついに乾
坤一擲、世界の旅客機の世界に追いつくきっかけ、・・・・・
になり得なかったのはMRJの失敗例を見ても明らかだ。実は、
ついに日本に航空機産業が根づかなかった要因はこの戦後初め
ての日本が作った旅客機YS11に示されている。

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 何かYS11を「名機」?という評価がネットなどに多く見かける。
だが、どこか名機?と言わざるを得ない、お粗末すぎる旅客機で
あり、絶望的な代物だった。実際に操縦したパイロットでYS11を
褒める人はいないはずだ。

 何よりも戦後長く、日本は航空機製造を禁止された。これは、
まさに致命的だった。YS11を設計したのは戦前に軍用機を設計
した、それに関連の人たちばかりであり、民間旅客機の設計の
経験など実質なかった。だから譬えていうならYS11は「戦後に
よみがえった一式陸攻」というほかない。大袈裟でなく一式陸
攻の旅客機仕様といって何ら言い過ぎではない。したがって全
く乗客には快適性に欠ける代物だった。それら

 そもそもプロペラ機が時代錯誤というべきだったが、日本の
貧相な空港の事情を勘案すれば仕方がなかった、にせよ、それ
でも作りようがあったはずである。

 プロペラ機といってレシプロエンジンではなくロールス・ロ
イスのダート10使用のターボプロップ、このエンジンは3060馬力、
それを二基搭載である。最大離陸重量23.5t~25tである。基本重量
が15~16t。一式陸攻が全備重量8tほどでエンジンは1530馬力が
二基。つまりあの鈍重をきわめた戦前の一式陸攻より重量は3倍ほ
どでパワーはせいぜい2倍、いかにYS11が戦後の、「民間旅客機」
としてもいかにアンダーパワーだったかである。このアンダーパ
ワーは多くの面にマイナスに影響した。エアコンの効きも悪かっ
た原因ともなった。

 時代錯誤は三舵をコントロールの操縦桿がワイヤー式、ケーブ
ル式ということで油圧ではなかった。とんでもなく、操縦桿は重
く力勝負で操縦は至難だった。機体重量低減のためとはいえ、こ
れは最重要な部分で時代錯誤、時代遅れというほかない。

 与圧は装備されたが、あらゆる点で人間工学的に失格を極めた
航空機であった。

 乗客への快適性は軍用機しか設計した経験のない面々、設計人
は木村秀政、菊原静男、堀越二郎、土井武夫、太田稔。

 飛行場での大きな欠点は超大径プロペラだった。左右が同方向
に回転だから、その結果が初飛行での墜落寸前という事態を招い
た。また単に大径すぎるだけでなく、プロペラの機構も散々であ
り、故障が多く、実はYS11の事故の真の原因とパイロット達から
は現在なお噂されている。

 当時としてプロペラ自体、時代遅れとしても、そのプロペラの
メカが超ひどかった。実は戦前から日本はプロペラ技術が低く、
訪れたフランス人技師が日本のプロペラ技術のあまりの低さに
腰を抜かした、という逸話もある。あの時代の日本の技術者の
設計のプロペラなのだ。推して知るべしだろう。

 YS11を操縦されたパイロットの方のブログから引用させて頂く
が、

 「YS11からボーイング727に乗り換えたときは、もうオンボロ
軽自動車からスカイランGTRかレクサスLSにでも乗り換えたよう
な異次元の快適さでした」

 その初飛行、当時の新三菱重工の第三格納庫から引き出された
YS11,最後の点検が終わり、近藤計三機長44歳、長谷川栄三副機長
39歳が搭乗した。

 離陸を果たし、伊勢湾上空を約一時間飛行、上昇力、旋回能力
、速度を試した。AM8時30分、結果的は無事に名古屋空港に着陸。

 長谷川副機長の回顧

 「当時は言いにくかったが、本当によく生きておったと思います
よ。あの大きなプロペラの風圧で機体はどんどん右に傾いていきま
した。操縦桿がまた重すぎることもわざわいし、全くいうことをき
かない。これじゃ使い物にならない、命の危険にさらされると、そ
の後、多くの点を改善はしました。そこで何とか安定飛行が可能に
はなりましたが基本的な欠陥はどうしようもなかったです」

 結局、戦後最初がYS11、この立ち遅れがその後の日本の航空機製
造に大きくひびいた。

 何よりも航空業界のトレンドを見抜き、ジェットにチャレンジし
なかった冴えない消極性がその後の日本航空業界が離陸できなかっ
た根本的原因を作った。できた代物は見ての通りの時代錯誤、短い
離陸距離のためプロペラ機といって超アンダーパワーで逆に離陸距
離が長くなったのも低次元な皮肉だ。






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