玉嶋信義編『中国の眼、魯迅から周恩来までの日本観』1959、弘文堂。今なお必読の文章を収録

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 もう政治家も戦争を知らない、もちろん直接戦争を経験の
世代はあり得ず、直接経験の世代から戦争の話を聞いて育っ
た世代よりさらに下の世代で、およそ日本における戦争の、
全く知識もない世代である。だから歪んだ軍事マニアがまか
り通る。

 この本は昭和34年、1959年に弘文堂から出たもの、非常に
貴重な内容である。古書だが文句なしの内容だ。読んで頭を
一度、冷やすべきと思われる。

 サブタイトルは「魯迅から周恩来までの日本観」である。
これが示すように、中国の眼、その、目は戦前から日本を
熟視する眼である。外国人による日本観を古来、今日に至
るまで日本人は気にし、「親日」を喜び「反日」を憎む。
それじゃ仕方ないと思える。真の意味の「知日」が必要で
ある。

 そこで魯迅から周恩来までの中国人の日本観は重要であ
る。無知で不見識な政治家、メディアに今なお影響される
国民であってはならない。

 この本は貴重な内容を収録している。「惜別の辞」、」「
抗日の哲学」、「敢えて直言する」、「過去を忘れよう」、
「叩けよ、さらば開かれん」の五部に分かれ、それぞれの時
代は日中戦争以前、戦争時代、日本敗戦直後、1954~1959の
新たな日中関係の打開のきざしが見え始めた時代。まだ日中
とも貧しかった時代、日本はその後、高度経済成長、遅れて
中国は経済成長を果たし、GDPでは世界2位となったが、は
るかそれ以前である。当時から日中関係はこじれで一筋縄で
いかなかったものだ。

 おさめられた文章は26篇、魯迅の作品『藤野先生』、孫文
の『私のアジア主義』、蒋介石の『日本国民に告ぐ』、『暴
に報いるに暴をもってなすなかれ』、周恩来の『あらゆる分
野の交流を』、郭沫若の『かえりなんいざ』、毛沢東『中国
は急がない』など、よく知られた文章も多いが、こうした歴
史的経過に組み込まれると、広い背景を持った言葉としてさ
らによみがえる。

 だが超著名な中国人の好く知られた文章以外に無名人の文
章、あまり知られていない文章は或る意味、さらに意義深い。

 1905年に清朝の依頼で日本政府が出した「清国留学生取締
規則」という急進的留学生の弾圧のための規則に反対した留
学生を「放縦卑劣」とののしった朝日新聞記事に抗議し、投
身自殺した陳天華の『抗議の遺書』、日本式の大アジア主義
に巣食うアジアへの侵略性を的確にとらえた香港大公報の記
者」、江公懐の戦時中の論説『日本人のアジア論』、終戦直
後にジャーナリスト石決明の書いた『軍閥という言葉』など
、いまなお意義深い重要な文章が収録されている。

 石決明は書いている。「日本軍に直接に蹂躙された中国の
一般民衆の対日感情は、日本軍のなした中国大陸での蛮行、
非人道行為のレベルに呼応し、日本人が想像できないほど深
刻に激しく、悪い、だた他方で中国のインテリは日本軍には
深い恨みを持っても、敗戦国民としての日本人民衆にはむし
ろ軍国主義の被害者として同情の念を抱いている。今後の中
日関係はさんざん議論されているが、私もよく質問を受けて
困るのだが、強いて言うなら無一文になった日本人と中国の
ゴロツキが南京の路上で仲睦まじく残飯を食べている光景が
見られたら、・・・・とお茶を濁している」

 もう戦争も知らず、戦争の真実も耳にしないような世代
が日本の偉い政治家になっているわけで、日中とも政治家は
頭を冷やして本書を読むべき、ただし古書で入手は古書店か
らに限られるが、・・・・・だと思えてならない。

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